この記事では、建築設備士一次試験(学科)に合格したときの勉強方法を、実際の勉強時間や使用した教材などの具体例とあわせてまとめています。

数値や制度に関する部分は、できるだけ公的機関などの一次情報を出典として明記しています。制度・数値は変わる可能性があるため、受験の際は必ず最新の公式情報をご確認ください

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1 建築設備士一次試験の合格率と難易度について

建築設備士試験は、一次試験(学科)と二次試験(設計製図)からなる国家資格試験です。

公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している試験データによると、直近 5 年間(令和 3〜7 年度)の一次試験合格率は次のとおりです。

  • 令和 3 年度:32.8%
  • 令和 4 年度:31.4%
  • 令和 5 年度:30.0%
  • 令和 6 年度:33.3%
  • 令和 7 年度:26.1%

同じく直近 5 年間の「総合合格率(一次+二次)」は 15.7〜21.5%の範囲で推移しています。

(出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「建築設備士試験データ」
https://www.jaeic.or.jp/shiken/bmee/bmee-data.html

建築設備士試験は一次試験の合格率はおおむね 30%前後、総合合格率は 15〜20%台と、建築関連資格のなかでも難易度は高い部類です。

受験資格と受験者のレベル感

建築設備士試験には、誰でも受けられるわけではなく、次のような受験資格があります。

  • 大学・短大・高専・専修学校などで建築・機械・電気系の課程を修了し、所定年数の実務経験がある人
  • 一級建築士、1 級電気工事施工管理技士、1 級管工事施工管理技士、電気主任技術者(1〜3 種)などの資格を持ち、所定年数の実務経験がある人
  • 建築設備に関する実務経験のみで一定年数以上の経験がある人(学歴や他資格がなくても、長期の実務経験があれば受験可能)
  • 大学(建築・機械・電気系)卒:実務経験 2 年以上
  • 短期大学・高等専門学校卒:実務経験 4 年以上
  • 高等学校卒:実務経験 6 年以上
  • 一級建築士・1 級施工管理技士・電気主任技術者 等:実務経験 2 年以上
  • 実務のみ:建築設備に関する実務経験 9 年以上

このように、受験者は建築・設備・電気系の実務経験者が中心で、初学者・未経験者が多い試験とは性質が異なります。

私自身も、電気系の実務経験や他の電気系資格(電験・施工管理技士など)を持ったうえで受験しましたが、会場の雰囲気も含めて「実務経験者が多い試験」という印象でした。

受験にかかる費用と試験会場

建築設備士試験の受験手数料は、建築技術教育普及センターの公式サイトで次のように案内されています。

  • 受験手数料:36,300 円(別途ネット決済手数料が必要)

(出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「建築設備士試験」
https://www.jaeic.or.jp/shiken/bmee/

また、試験地(会場)は次の8 地区で実施されています。

  • 札幌市
  • 仙台市
  • 東京都
  • 名古屋市
  • 大阪府
  • 広島市
  • 福岡市
  • 沖縄県(一次試験のみ実施。沖縄会場で一次試験を受験した場合、二次試験は原則 福岡市で受験)

二次試験(設計製図)の受験準備講習会については、一般社団法人 日本設備設計事務所協会連合会・一般社団法人 電気設備学会などが主催する講習会があり、最近の例では次のような受講料が案内されています。

  • 受講料:25,000 円(消費税・テキスト代を含む)

 

私の場合、一次・二次を通じて実際にかかった費用の目安は、以下のとおりでした。

  • 受験手数料:36,300 円
  • 法令集と過去問題集:合計 約 8,800 円(購入時の実費。書籍や購入店によって変動します)
  • 二次試験受験準備講習会受講料:25,000 円
  • 試験会場までの交通費・宿泊費:居住地や予約状況により大きく変動

これらを合計すると、私のケースでは一次〜二次まででおおよそ 70,000〜100,000 円程度になりました。交通費と宿泊費の部分は、あくまで居住地や予約タイミングによって変わります。

合格に必要な勉強時間について

一次試験の合格までに必要な勉強時間は人によって差がありますが、私の感覚では「少なくとも 300 時間程度」は欲しいと感じました。

私自身の勉強時間の目安は次のとおりです。

  • 平日:平均 1 時間程度
  • 休日:平均 4 時間程度
  • 勉強期間:約 5 か月

このスケジュールで、一次試験向けの総勉強時間はおおよそ 300 時間程度になりました(過去問 7 年分を 8 周ほど回した想定)。

二次試験については、平日 1 時間・休日 5 時間程度を 2 か月ほど継続し、休日・祝日が多かったこともあり、合計で約 120 時間ほど勉強しました。


2 建築設備士一次試験に合格するための勉強方法

一次試験対策として、私がおすすめしたい勉強法は、結論から言うと「過去問問題集を徹底的にやり込むこと」です。王道ですが、最終的に一番効率が良いと感じました。

私は 7 年分の過去問を使って令和 6 年度の一次試験に臨み、全 105 問中 96 点(令和 6 年度の合格基準点は 72 点)を得点しました。試験直後の手応えとしては「7 割くらいは取れているだろう」という感覚でしたが、結果として9 割超の得点率になっていました。

実際の試験では、過去問とまったく同じ問題がそのまま出ることは多くありません。しかし、次のような「過去問の選択肢を少しだけ変えた問題」が多い印象です。

  • 過去問では「〜がある」だったものを「〜がない」に変えている
  • 数値だけを変更している
  • 文章の一部だけ表現を変えている

さらに、新作問題も一定数出題されます。私の体感では、全選択肢のうちおおよそ 2 割程度は、過去問だけでは見たことがない内容でした。

しかし裏を返せば、「残り 8 割は過去問ベースで対応できる」ということです。新作問題が分からなくても、過去問の知識から消去法で正答に近づける場面が多く、過去問をやり込むメリットは大きいと感じました。

私の経験上、最低でも 7 年分の過去問をしっかり勉強すれば、新作問題が全て分からなくても、過去問由来の問題だけで合格基準点(7 割)を上回ることは十分可能だと思います。

過去問勉強のコツ① 正答以外の選択肢も勉強する

過去問を解くときは、正解の選択肢だけを見るのではなく、必ず他の選択肢も含めて内容を理解するようにしてください。

特に「誤っている文章を 1 つ選べ」という形式の問題では、

  • 正答:誤っている選択肢
  • その他の選択肢:正しい内容

という構成になっています。

本試験では、この「正しい内容が書かれた選択肢(=過去問では不正解肢だった部分)」からの出題が多いと感じました。そのため、正答だけを覚えても、得点アップにはあまりつながりません。

過去問勉強のコツ② 問題集の解説を理解する

過去問問題集の解説は、できるだけ丁寧に読み、分からない用語や概念はその場で潰していくことをおすすめします。

例えば、次のような問題を考えます。

  • 「特殊継手排水システムを採用したので、排水立て管にはオフセットを設けなかった。」

このとき、

  • 特殊継手排水システム
  • 排水立て管
  • オフセット

といった用語の意味が分からなければ、解説や関連書籍、インターネット検索等で一度しっかり確認しておくと、後の理解が格段にラクになります。

過去問勉強のコツ③ わからなければ潔く飛ばす

分からない用語や分野が多い状態で勉強を進めるのはあまりおすすめできませんが、「理解すること」にこだわりすぎて時間をかけすぎるのも危険です。

特に、

  • 今の自分の知識ではどう頑張っても理解が追いつかない
  • 調べれば調べるほど時間だけが過ぎていく

という状態になったときは、一度その問題は潔く飛ばしてしまうのも有効です。

何周か過去問を回しているうちに、別の問題や解説で関連知識がつながり、あるタイミングで急に理解できる、ということもよくあります。

過去問勉強のコツ④ 関連する情報も一緒に暗記する

1 つの知識だけでなく、その周辺の情報もまとめて覚えるようにすると、得点源が増えます。

例えば、「C 種接地抵抗値は10 Ω以下」という知識が問われた場合、あわせて次のような関連情報も覚えておくと便利です。

  • A 種接地抵抗値:10 Ω以下
  • D 種接地抵抗値:100 Ω以下

多くの過去問問題集の解説には、このような関連情報がまとめて整理されていることが多いので、解説部分も含めてセットで暗記していくのがおすすめです。

過去問勉強のコツ⑤ 何度も過去問を周回する

これが最も重要なポイントだと感じています。人間は忘れる生き物なので、1 回解いただけの問題は時間が経てば確実に忘れます

過去問は「短い周期で何度も回す」ことを意識して、繰り返し演習してください。私の目安としては、

  • 1 周するのにかける期間:できれば 2 週間以内

くらいのスピード感で回せると理想的です。

具体的には、次のような進め方をしました。

  • まず「建築一般」科目の 7 年分の過去問を2 週間で 1 周できるように範囲を調整し、ある程度定着するまで繰り返す
  • 次に「建築法規」科目で同じように7 年分を 2 週間で 1 周 × 複数周
  • 次に「建築設備」科目で同様に7 年分を 2 週間で 1 周 × 複数周
  • 科目ごとのループに慣れてきたら、「3 科目まとめて 7 年分を 2 週間で 1 周」「慣れてきたら 1 週間で 1 周」などにペースアップしていく

周回の期間や範囲は、自分の生活リズムや理解度に合わせて調整してください。

過去問勉強のコツ⑥ 覚えたことをアウトプットする

インプット(読む・聞く)だけでは、なかなか記憶が定着しません。できるだけアウトプットの回数を増やすように意識しました。

例えば、次のような方法です。

  • 答えを隠して、過去問を自力で解く時間を必ず作る
  • 自分だけの穴埋め暗記カードや一問一答カードを作る
  • 重要な用語や数値は、口に出して説明できるレベルまで持っていく

自分で説明できるかどうか」を基準にすると、理解の甘い部分が見えやすくなります。

過去問勉強のコツ⑦ 間違えた問題はメモする

一度間違えた問題は、放置しておくと次に解いたときも同じように間違えることが多いです。そこで私は、次のような工夫をしました。

  • 間違えた問題のページに小さい付箋を貼る
  • 自分用の「間違えた問題ノート」を作り、なぜ間違えたのかを簡単にメモしておく

(私の過去問問題集は付箋だらけになり、家族や友人に見せたところ笑われてしまいました…が、効果は大きかったです。)

最終的には、

  • 完全に覚えた問題は周回対象から外す
  • 間違えた問題・あやふやな問題だけを集中的に周回する

という形にすると、効率よく得点源を増やしていけます。


3 さいごに

建築設備士一次試験は、合格率だけを見ると「3 人に 1 人くらい受かるから、そこまで難しくないのでは?」という印象を持たれるかもしれません。

しかし、実際には受験資格のハードル受験手数料や教材費・講習会費・交通費などの負担、そして実務経験者が中心の受験者層などを踏まえると、決して簡単な試験ではないと感じました。

一方で、しっかり勉強した分だけ得点に結びつきやすい、取り組みがいのある試験でもあります。理不尽な運要素だけで大きく左右されるタイプの試験ではなく、「過去問をベースにコツコツ積み上げれば、確実に合格に近づいていける試験」という印象です。

受験される方の参考になれば幸いです。無理のない計画で、コツコツ積み上げていきましょう。