電験二種二次試験の論説問題対策の重要性について
電験二種二次試験において、論説問題の対策は非常に重要です。特に「電力・管理」科目においては、6問中3問程度が論説問題です。
広い範囲を要点を捉えて勉強し、どのような問題が出題されても、何かしらの回答を記述して、部分点を獲得できる状態にしておく必要があります。
電験二種において、私はツイッターや5チャンネル(WEBの掲示板)を頻繁にチェックしていましたが、合格基準点である得点率6割のボーダー付近の方は、大体の方が試験に合格している感覚があります。
つまり、受験者達の想定よりも、実際の試験では部分点を多めに拾って貰えている可能性が高いです。
この部分点を多めに貰えているであろう環境を考慮すると、論説問題対策は効率良く6割の合格基準点に達するため、非常に重要となります。
計算問題と論説問題はどちらに力を入れたら良いのか
少し話が脱線しますが、私のおすすめの勉強の割合は、計算問題85%、論説問題15%の割合です。
もう少し細かく話をすると、二次試験本番3カ月前ぐらいまでは、計算問題100%、論説問題0%でもいいかもしれません。
一方で、試験前日であれば、計算問題50%、論説問題50%の割合となります。
つまり何が言いたかったかと言いますと、あまり早くから論説問題の対策を実施したとしても、試験当日には忘れてしまっている可能性が高く、6割の合格基準点を目指す上で効率が良くないということです。
その点、計算問題は解けば解くほど計算力を身に付けることができます。この計算力は一朝一夕で身に付くものでは無く、常日頃から鍛錬を積む必要があります。
二次試験論説対策のオリジナル暗記カードを作ろう
二次試験論説対策において、私のおすすめは「オリジナルの暗記カード」を作成することです。参考に、私が作成した暗記カードを載せておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
私は約150問の問題と答えを作成し、試験当日までにそのほぼ全てを暗記しました。
暗記カードの作成に当たり、「キーワードで覚える! 電験2種二次試験論説問題」を参考にさせていただいております。論説対策には欠かすことのできない良書なので、ぜひご購入ください。
自分用に作成したものですので、間違い等があるかもしれませんが、その点はご了承ください。
【問題】 | 【答え】 |
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循環方式の火力発電用ボイラを三つ述べよ。 | 自然循環ボイラ、強制循環ボイラ、貫流ボイラ。 |
ボイラを仕組みを述べよ。 | 燃料と空気を燃焼させる。その際、排ガスで空気を予熱(空気予熱器)。給水ポンプで水を供給し、蒸気ドラム・降水管・蒸発管にて蒸気を発生。給水は排ガスの余熱を利用した節炭器で加熱。水蒸気は加熱器で加熱し、蒸気タービンへ送られる。 |
自然循環ボイラの仕組みを述べよ。 | 蒸発管と降水管中の水の比重差によってボイラ水を循環させる。圧力は亜臨界圧以下(4~17MPa)である。 |
自然循環ボイラの利点を二つ述べよ。 | 構造が簡単で、広い圧力範囲で使用される。 ボイラ水の水質管理に対する要求も厳しくない。 |
自然循環ボイラの欠点を二つ述べよ。 | 圧力が高くなると水と蒸気の比重差(密度差)が減少するので循環が悪くなる。ボイラの高さを高く、蒸発管の高さを太くする必要がある。 |
強制循環ボイラの仕組みを述べよ。 | 循環経路である降水管の途中に循環ポンプを取り付け、強制的に水を循環させる。亜臨界圧(17MPa)。 |
強制循環ボイラの利点を二つ述べよ。 | 自然循環ボイラに比べて急速な始動停止ができる。蒸発管の太さを細く、肉厚を薄くすることができ、小型化が可能。 |
強制循環ボイラの欠点を述べよ。 | 循環ポンプにより所内動力が増加するとともに、運転保守も必要。 |
貫流循環ボイラの仕組みを述べよ。 | 臨界圧力(22.12MPa,341℃)以上になると、加熱された水はいきなり水蒸気になる。このため、超臨界圧(24MPa程度)ではドラムは必要ない。貫流ボイラは蒸発管に送り込まれた給水が直接加熱蒸気となる。 |
貫流循環ボイラの利点二つ述べよ。 | 構造が簡単。保有水量が少ないので急速な起動停止ができ、負荷変動に対する追従性が高い。 |
貫流循環ボイラの欠点二つ述べよ。 | ボイラ水に含まれる不純物をドラム下部から濃縮ブローができないため、高純度の給水が要求され、厳重な水質管理が必要。高温高圧のため耐熱材料が使用され、給水ポンプ動力が大きい。 |
火力発電用ボイラから発生する大気汚染物質を三つ述べよ。 | 硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん。 |
硫黄酸化物を減少させる方法を二つ述べよ。 | 硫黄分の少ない燃料(LNG)の使用。 煙道に排煙脱硫装置を設け、硫黄酸化物を粉状の石灰と水の混合液に吸収させる。 |
窒素酸化物を減少させる方法を三つ述べよ。 | 燃焼温度を低くする。燃焼用空気の酸素濃度を低くする。煙道に排煙脱硝装置を設け、窒素酸化物を触媒とアンモニアを利用して窒素と水に分解する。 |
ばいじんを減少させる方法を三つ述べよ。 | 燃料と空気を正しく混合する。火炎が火炉壁に接触しないようにする。電気集塵器を使い、ばいじんをマイナスに帯電させ、ばいじんの粒子をプラス極に集めて除去する。 |
コンバインドサイクル発電の仕組みを述べよ。 | ガスタービン発電を行った後、ガスタービン発電の排気ガスを利用して汽力発電を行う発電方式。 |
コンバインドサイクル発電の特徴を三つ述べよ。 | 熱効率が50%以上と高い。起動・停止時間が短い。 ガスタービン部の設備が比較的単純なので、建設費が安く運転操作が簡単。 |
汽力発電における変圧運転の概要を述べよ。 | 蒸気加減弁の開度を一定にし、主蒸気圧力を変化させる(蒸気流量は主蒸気圧力と蒸気加減弁の開度にほぼ比例)。タービンに流入する蒸気流量を変化させ、発電機出力を制御する。 |
汽力発電における変圧運転のボイラの種類を述べよ。 | スパイラル水冷壁を用いた超臨界圧貫流ボイラが用いられる。 |
汽力発電における変圧運転の利点を二つ述べよ。 | 部分負荷の絞り損失が低減し、タービン効率が向上。 給水圧力を低くするため、給水ポンプ動力が減少する。 |
汽力発電における変圧運転は定圧運転と比較してどうか。 | サイクル効率は低下するが熱効率は高くなる。 |
ガスタービン発電の特徴を三つ述べよ。 | 起動停止時間が短く、負荷追従性が高い。運転操作が容易。出力当たりの容量や重量が小さいので建設費が安く、工期も短い。 |
ガスタービン発電の高効率化策を二つ述べよ。 | 燃焼温度を高くする。→ただし、ノックスが増加し、ガスタービン各部への冷却空気の増加が必要。高温に耐えるタービン翼材料の開発。 |
汽力発電所の熱効率向上対策を三つ述べよ。 | 再生再熱サイクルを採用する(再熱サイクル→高圧タービンで仕事をして温度が低下した湿り蒸気をボイラの再熱器で再び加熱して渇き蒸気にし、低圧タービンで仕事をさせる。再生サイクル→タービンから蒸気を抽気して給水の加熱に利用する)。復水器の真空度を上げる。タービン入口の蒸気温度・蒸気圧力を高くする。 |
過熱器について述べよ。 | 過熱器→飽和蒸気を過熱蒸気にする。 |
再熱器について述べよ。 | 再熱器→高圧タービンから出た飽和蒸気を再度過熱して過熱蒸気にし、低圧タービンに送る。 |
節炭器について述べよ。 | 再熱器→高圧タービンから出た飽和蒸気を再度過熱して過熱蒸気にし、低圧タービンに送る。 |
空気予熱器について述べよ。 | 空気予熱器→燃焼ガスの余熱で燃焼用空気を加熱する。 |
脱気器について述べよ。 | 脱気器→タービン抽気で給水を直接過熱し給水中の溶存ガスを除去して蒸発管などの腐食を防止する。 |
復水器について述べよ。 | 復水器→タービン排気を冷却して水に戻すとともにタービン出口の排気圧力を真空に近い値まで下げる。 |
不平衡負荷がタービン発電機に及ぼす影響三つ述べよ。 | 回転子表面や固定子巻線の局部を加熱。くさび(スロットの巻き線が外れないようにする蓋)がなまされてせん断破壊。渦電流によるアークが発生し材料を損傷 |
不平衡負荷がタービン発電機に及ぼす影響の対策二つ述べよ。 | 回転子のくさび材や制動巻線に耐熱性の高い材料を使用。逆相分検出リレーを設置して警報を発する→許容値を超えた場合は系統から遮断 |
同期発電機の励磁装置の基本機能を二つ述べよ。 | 界磁巻線に直流電流を供給。端子電圧を一定に保持・調整。 |
静止型励磁方式(サイリスタ励磁方式)は同期発電機の過渡安定度向上効果を期待できるが、それはなぜか。 | 静止型励磁方式(サイリスタ励磁方式)は発電主回路に接続した変圧器の出力をサイリスタ整流器により直流に変換し、発電機に励磁電流を供給する方式である。速応性に優れており、系統事故が発生した場合は発電機の励磁を強めることにより、発電機内部誘導起電圧を高め(回復電圧を高め)、過渡安定度を向上させる。 |
静止型励磁方式(サイリスタ励磁方式)を採用した場合、補助励磁装置としてPSS(Power System Stabilizer)を付加するのはなぜか。 | 安定度(系統動揺の減衰)を悪くすることがあるので,これを改善するため。 |
PSSの基本機能を述べよ。 | 発電機出力偏差ΔP や回転速度偏差Δω などを入力信号とし,発電機の動揺を抑制するように信号の位相と大きさを調整して,自動電圧調整装置(AVR)への信号を生成する。 |
火力発電所の制御方式を三つ述べよ。 | ボイラ追従方式。タービン追従方式。プラント総括制御方式。 |
ボイラ追従方式の特徴を述べよ。 | ドラム形ボイラに採用。ボイラへの燃料供給量、空気量、給水量などを制御する方式。 |
タービン追従方式の特徴を述べよ。 | 貫流ボイラに採用。蒸気加減弁の開度を変化させてタービンに流入する蒸気流量を制御する方式。 |
プラント総括制御方式の特徴を述べよ。 | 大容量の火力発電所で採用。ボイラへの燃料供給量、空気量、給水量とタービンの蒸気加減弁の開度を同時に協調的に制御する。 |
大容量発電機の保護に用いられる継電器方式四つ述べよ。 | 電気子巻線短絡保護。電気子巻線地絡保護。界磁喪失保護。過電圧保護。 |
発電機の周波数を一定に保つ必要がある理由三つ述べよ。 | ボイラ・タービン系の熱応力の問題を軽減。タービン翼の振動発生を防止。電動機の回転速度を一定化し製品の品質を向上する。 |
定格出力付近で運転している汽力発電所において、系統事故などにより周波数が低下した場合の影響について三つ述べよ。 | 回転速度上昇により機械的応力が増加し、タービン及び発電機が破壊される。補機・機器の機械的応力が増大する。タービン出力(発電機出力)が増大し、タービン発電機固定子が過熱する。 |
同期調相機(同期発電機)の界磁電流調整について述べよ。 | 界磁電流を増やすと進み力率になり、減らすと遅れ力率になる。これは縦軸を電気子電流、横軸を界磁電流としたV曲線にてあらわされる。発電機はこの逆となる。 |
火力発電所のタービン発電機を進相運転する場合の影響について三つ述べよ。※深夜などの軽負荷時に、発電機の電圧を下げるために行う | 界磁電流が減少して不飽和となり、漏れ磁束は増大する。発電機内部誘導起電圧が減少し、内部相差角の増大により、同期化力が減少し、定態安定度が低下する。発電機端子電圧低下に伴い、所内電圧が低下し、大型発電機の始動不能やトルク不足が生じる。 |
火力発電所のタービン発電機を遅相運転する場合の影響について述べよ。 | 発電機の界磁電流を大きくすると、発電機は遅相運転になるが、界磁巻線(回転子巻線)の過度の温度上昇を招く。 |
燃料電池発電の概要を述べよ。 | 化石燃料を改質して得られる水素などの燃料と空気中の酸素を電気化学反応により酸化させ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。 |
燃料電池発電の特徴を三つ述べよ。 | 効率が35~60%程度と高い(コージェネ導入にて80%まで向上)。窒素酸化物を出さない。騒音や振動が少ない。 |
太陽光発電の利点を三つ述べよ。 | 可動部分や高温高圧の部分がなくシステムが単純で保守が容易で無人化も可能。非枯渇エネルギー。クリーンな発電方式。 |
太陽光発電の欠点を三つ述べよ。 | 発電が気象条件に左右される。エネルギー密度が小さい(1kW/㎡)。エネルギーの変換効率が10数%程度と低い。 |
油入変圧器を保護する目的で使用される継電器の種類 電気的保護継電器三つ述べよ。 |
比率差動継電器(変圧器内部で短絡、地絡の故障が生じると、動作コイルに電流が流れる)。地絡方向継電器。過電流継電器。 |
油入変圧器を保護する目的で使用される継電器の種類 機械的保護継電器三つ述べよ。 |
ブッフホルツ継電器(変圧器内部故障に伴い発生するガスあるいは油流を検出する。衝撃圧力継電器。温度継電器。 |
油入変圧器の冷却方式六つ述べよ。 | 油入自冷式、油入風冷式、油入水冷式、送油自冷式、送油風冷式、送油水冷式 |
変圧器の結線方法四つ述べよ。 | Δ―Δ結線:中性点が接地できないので低電圧の回路で用いられる、Δ巻線内で第三高調波が環流するので電圧がひずみにくい、1相が故障しても残り2相で運転を継続できる Δ―Y結線:主に昇圧用、30°の位相差(2次側のY側は30°進む)がある。Y-Δ結線:降圧用として有効、中性点を接地できるので地絡保護及び異常電圧の抑制が容易。Y-Y-Δ結線:接地できる、一次に二次間で位相の差がない、三次のΔ巻線は調相設備の接続や所内電源の供給に利用される。 |
外雷からの保護について、対策を三つ述べよ。 | 近接雷は第一鉄塔での逆フラッシオーバ発生を想定し十分な機器の絶縁強度を確保する。変電所及びその近くの送電線には架空地線を設けて直撃雷を防ぐ。避雷器などの避雷装置によって異常電圧の値を低減(保護レベル)する。 |
遠方雷や内雷が機器の絶縁レベル決定要因とならないのはなぜか。 | 遠方雷はコロナや表皮効果によって波高値・波頭峻度ともかなり低減するため、避雷器で保護が可能。開閉サージ等の内雷は常規対地電圧波高値の4倍程度以下であり、影響は大きくない。 |
直列ギャップを有しない避雷器(ギャップレスアレスタ)とは。また、特徴を三つ述べよ。 | ギャップのない酸化亜鉛形避雷器(ギャップレスアレスタ)が使用される。放電漏れがなく保護性能が良い。サージ処理能力が高い。汚損による特性変化が少ない。 |
変電所の母線保護方式を四つ述べよ。 | 比率差動方式。位相比較方式(電流の位相を比較)。方向比較方式(電力方向継電器を使用、電圧を基準として電流の方向を検出)。遮へい母線方式(金属管で包み1点で接地し接地個所に地絡過電流を設置) |
SF6ガスの特徴四つ述べよ。 | 絶縁性が高い。無毒・不活性。消弧能力が高い。省スペース。 |
SF6ガスの用途三つ述べよ。 | ガス遮断器。ガス絶縁開閉装置(GIS)。変圧器。 |
変圧器の騒音発生原因四つ述べよ。 | けい素鋼板鉄心を交流磁化するとき鉄心が伸縮し磁気ひずみによる振動が発生。巻線間の電磁力によって巻線が振動し騒音が発生。鉄心の継目及び鉄板の成層間に働く磁力による振動。送油ポンプや風冷装置ファンの振動。 |
変圧器本体の騒音低減対策三つ述べよ。 | 磁気ひずみの少ない高磁束密度けい素鋼板(方向性鉄板)を使用する。励磁電圧周波数に対して共振しないような寸法構造とする。二重タンク構造とし本体とタンクの間に吸音材を充填する。 |
変圧器の冷却器の騒音低減対策を二つ述べよ。 | 冷却ファンに騒音の小さいものを採用する。送油ポンプを屋内に設置する。 |
変圧器を設置している室内での騒音低減対策を三つ述べよ。 | 防音壁を設ける。防音壁貫通部での漏音対策を実施する。防振ゴムを設置する。 |
中性点接地の目的三つ述べよ。 | 地絡事故時に生じる健全相の対地電圧の上昇抑制。地絡保護リレーの動作に必要な電流または電圧の確保。地絡事故時の故障電流の抑制と電磁誘導障害対策の確立。 |
187kV以上の送電線路で採用される、直接接地方式の特徴四つ述べよ。 | 1線地絡事故時の健全相の電圧上昇がほとんどなく、中性点は事故時においても対地電圧に維持される。1線地絡電流が大きいので保護継電器の動作は迅速確実だが、通信線に対する電磁誘導障害が著しい。地絡電流が大きく遮断器の遮断容量の選定には注意が必要。地絡故障に対する過渡安定度が低い。 |
抵抗接地方式の特徴二つ。100kV,154kV系統は高抵抗接地方式について述べよ。66kV,77kV系統は低抵抗接地方式。 | 中性点に挿入する抵抗値は電磁誘導障害防止と異常電圧発生防止と地絡継電器の確実な動作の観点から決定。抵抗値を大きくとれば1線地絡時の健全相対値電圧は相電圧の√3倍になるが、非接地方式と同じように間欠アーク地絡が発生するおそれあり。 |
消弧リアクトル接地方式の特徴二つ述べよ。154kV以下の架空送電系統のうち、特に電撃頻度の高い系統に採用。架空送電線で採用。 | 送電線の対地静電容量と並列共振するインダクタンス値をもったリアクトルにより、変圧器の中性点を接地する方式。1線地絡事故時の対地静電容量の充電電流を中性点のリアクトルによる遅れ電流によって打消し、地絡アークを自然消弧させる。保護継電器の動作が困難。 |
非接地方式の特徴について述べよ。30kV程度以下の小規模系統や6.6kV配電系統に採用。 | 地絡電流が小さく、健全相の対地電圧の上昇が大きくなる。保護継電器の動作が困難。厳密には接地変圧器を介して中性点接地を行うため、非常に大きな抵抗(数十kΩ程度)を接続したのと等価な状態。 |
補償リアクトル接地方式の特徴を述べよ。66~154kVの多くの電力ケーブルがつながるケーブル系統(地中電線路)で採用。 | 中性点接地抵抗器と並列にリアクトルを設置し、地絡電流中の充電電流を相殺。(地中ケーブルの静電容量のみを相殺し、抵抗器と並列に繋ぐということが重要) |
非接地方式や高抵抗接地の際にあらわれる間欠アーク地絡とは何か。 | 消弧と再点弧を繰り返して高い電圧が発生すること。例えば、ケーブルに水ツリーが発生し、アーク地絡すると水が蒸発して地絡が解消するが、時間が経つと再び水分が侵入し、また地絡するということを繰り返す。 |
直流送電方式の利点について七つ述べよ。 | ①交流のリアクタンス分がないため安定度の問題がなく大電力を長距離送電するのに適している ②無効電力による損失がなくケーブルでは誘電損がないので送電損失が少ない ③充電電流がなく又フェランチ効果がない ④周波数の異なる交流系統の連携が可能 ⑤直流連携しても短絡容量が増加しない ⑥導体は2条でよく送電線路の建設費が安い ⑦最大値と実効値が等しいので絶縁強度の低減が可能 |
直流送電方式の欠点について五つ述べよ。 | ①交直変換装置や無効電力供給設備(変換器の点弧位相を変えることにより電圧より電流が遅れて変換容量の60%程度の無効電力を消費する)が必要 ②大地帰路方式は電食を起こす ③高調波障害対策が必要 ④高電圧・大電流の直流遮断が難しく、多系統とは繋げない ⑤電圧の変成が容易にできない。 |
スリートジャンプについて原因一つと、どのようなことが起こるか一つと、対策を二つ述べよ。 | 氷雪脱落時の跳ね上がり。相間短絡。長径間を避ける。電線を水平配列する。 |
ギャロッピングの原因を一つ、どのようなときに発生しやすいかを一つ、どのようなことが起こるかを一つ、対策を二つ述べよ。 | 非対称な形に氷雪が付着した電線に水平風が当たると浮遊力が発生。多導体方式及び電線断面積の大きい電線路で発生しやすい。相間短絡事故。ダンパ取り付け。相間スペーサ取り付け。 |
微風振動の原因について述べよ。 | 比較的軽い電線が微風により空気の渦(カルマン渦)ができ、交番上下力の周波数が電線の固有振動数の一つと一致すると、電線が定常的に上下振動を起こす。 |
微風振動の影響と対策について述べよ。 | 電線の疲労劣化。クランプの取付部の劣化。長径間・大張力・直径の大きいわりに軽い電線に起きやすい。アーマーロッドで補強。ダンパを取り付ける。 |
着氷雪の事故防止について六つ述べよ。 | 支持物・電線の強化。難着雪電線の採用。ルート選定。融雪通電。オフセットの確保。相間スペーサの設置。 |
雷事故における遮へい失敗事故とは何か述べよ。 | 雷が電力線を直撃してアークホーンにフラッシオーバが発生する。 |
雷事故における逆フラッシオーバ事故とは何か述べよ。 | 架空地線あるいは鉄塔への雷撃によって架空地線あるいは鉄塔の電位が上昇し、架空地線と導体間、又はアークホーンにフラッシオーバが発生する。 |
雷害防止対策について三つ述べよ。 | 架空地線により、雷直撃時のフラッシオーバの防止と誘導雷を抑制する。避雷器を設置し、線路に現れる誘導雷サージを抑制し、機器、がいしなどの絶縁協調を保つ。塔脚接地抵抗を低減する。 |
雷サージが電力線に侵入した場合の被害の防止と軽減化について三つ述べよ。 | アークホーン(がいし装置の両端から突き出た金具)を設置する。不平衡絶縁の採用。高速度再閉路方式の採用。 |
架空送電線路の電磁誘導障害の防止対策について三つ述べよ。 | 送電線のねん架を完全にする。架空地線で故障電流を分流させる。送電線との距離を大きくとる。 |
架空送電線で発生する主要な損失を二つ述べよ。 | 抵抗損(ジュール熱)。コロナ損。 |
抵抗損の低減対策について三つ述べよ。 | 送電線の電線を太線化し導体抵抗の低減を図る。高次送電電圧を採用。多導体電線を採用。 |
“コロナ損の発生原因について述べよ。 ※コロナが発生しない範囲はAC 21kV/cm程度” |
線の表面の電位傾度が高くなって送電線にコロナが発生するとコロナ損(電力損失)が生じる。 |
架空送電線のコロナ放電による障害の内容を五つ述べよ。 | コロナ損が発生する。電波障害が発生する。雑音による騒音。高調波の発生。水の微粒子が射出されて振動が生じるコロナ振動がおこる。 |
架空送電線のコロナ放電の対策について四つ述べよ。 | 電位傾度を低下させるため鋼芯アルミより線などの外径の大きい電線を使用。電線を多導体化する。金具の突起物を無くす。シールドリングを用いる。 |
架空送電線の太さの選定に関する主要な電気的要因を4項目挙げよ。 | 許容電流。電力損失。コロナ。電圧降下。 |
再閉路方式を三つ述べよ。その他に種類だけ三つ述べよ。 | 低速度再閉路(線路の自動復旧 、1分程度以内)。中速度再閉路(スリートジャンプ、誘導電動機残留電圧の低減、ギャロッピング振動減衰等も考慮、 25秒程度以内)。高速度再閉路(1秒以内、系統連系の維持と系統安定度の向上)。その他に、三相再閉路。単相再閉路。多相再閉路(2相以上が健全であれば再閉路)。 |
特別高圧電路と高圧電路に施設されるリアクトルの種類を五つ述べよ。 | 分路リアクトル。限流リアクトル。電力コンデンサ用直列リアクトル。消弧リアクトル。補償リアクトル。 |
分路リアクトルとは何か。 | 調相設備として設置されるもので、進み無効電力を供給し、系統電圧の上昇を抑える。 |
限流リアクトルとは何か。 | 主回路と直列に接続し短絡電流を制限する。機器・設備の熱的・機械的な障害を防ぎ、遮断器の短絡容量抑制を図る。 |
電力コンデンサ用直列リアクトルとは何か。 | 電力用コンデンサと直列に接続され第5高調波インピーダンスを小さくして系統電圧のひずみを防止する。コンデンサを系統に接続したときの突入電流の抑制ならびに開放時の再点弧防止にも有効である。 |
消弧リアクトルとは何か。 | 1線地絡事故時に送電系統の対地静電容量と並列共振させ、アークを速やかに消滅させるため中性点と大地間に接続する。架空送電線で採用される。 |
補償リアクトルとは何か。 | 都市部のケーブル系統増加に伴う対地充電電流の増大対策として、補償リアクトルを中性点接地抵抗と並列に設置し、対地充電電流を補償する。保護継電器の動作を確実にし、一線地絡事故時における充電電流による通信機器への影響や健全相電圧の異常上昇を抑制する。地中送電線で採用される。 |
電力系統に発生する過電圧の種類について二つ述べよ。 | 外部過電圧。内部過電圧。 |
外部過電圧の種類を二つ述べよ。 | 直撃雷。誘導雷(雷雲が送電線路の上空に接近すると、静電誘導によって送配電線路に雷雲と逆極性の電荷が収束され、雷雲が大地に放電すると拘束電荷は自由電子になって送配電線路を進行していく) |
開閉過電圧(再点弧サージ・電流裁断サージ・投入サージ)について述べよ。 | 遮断器や断路器の開閉操作によって発生する過渡的な過電圧のこと。 |
再点弧サージについて述べよ。 | 送電線電位と遮断器側電位の電位差で再点弧する。 |
電流裁断サージについて述べよ。 | 励磁電流のような遅れ小電流を遮断すると、自己インダクタンスに電圧を生じる。 |
発電機の自己励磁現象による過電圧について述べよ。 | 同期発電機を無負荷の長距離送電線路に接続する場合、線路の静電容量により90°位相が進んだ充電電流が流れるため、発電機の電機子反作用によって発電機端子電圧が異常に上昇。 |
超高圧などの送電線で多導体電線を使用する理由六つ述べよ。 | コロナ放電抑制による電波障害の防止。工事中の電線の取り扱いが容易。表皮効果による線路抵抗が比較的小さい。許容電流の増大(標準的な太さの電線で面積を大きくでき、送電容量が20%程度増加し、許容電流も増加)。インダクタンスが20~30%減少するが静電容量は20~30%増加し、調相設備と同様の働きをする。リアクタンスが減少するので、系統の定態安定度及び過渡安定度が増大する。 |
フェランチ現象の原因一つと、どのような場合にそうなるか述べよ。 | 静電容量により線路の充電電流が大きくなって進み電流となり、受電端の電圧が送電端の電圧よりも高くなる。ケーブルや高電圧線路、送電線のこう長が長いほど著しくなる。 |
フェランチ現象の対策三つ述べよ。 | 電力用コンデンサ切り離し。分路リアクトル投入。同期調相機の低励磁運転。 |
CVケーブルの構造について特徴を二つ述べよ。 | 架橋ポリエチレン。金属テープの遮へい層にビニルシース。 |
CVケーブルの利点について三つ述べよ。 | 熱特性が良く、許容温度が高く、許容電流が大きい。軽量で作業性が良く、接続が簡単。誘電正接や比誘電率が小さく、誘電損や充電電流が小さい。 |
CVケーブルの利点について述べよ。 | 水トリー現象により絶縁体が劣化する。 |
地中電線路の長所を三つ述べよ。 | 供給信頼度が高い。安全性が高い。都市美観を損なうことがない。 |
地中電線路の短所を四つ述べよ。 | 建設費が高い。故障個所の発見や復旧に長時間を要する。送電容量が小さい。フェランチ現象の要因となる。 |
電力ケーブル劣化原因五つ述べよ。 | 電気的劣化(絶縁物に混入する異物やボイド)。化学的劣化。温度劣化。吸水劣化。機械的劣化。 |
電力ケーブル劣化診断技術五つ述べよ。 | 絶縁抵抗法(メガ測定)。直流漏れ電流法(ケーブル絶縁体に直流高電圧を印加して検出される漏れ電流を測定する。水トリーの検知に有効)。直流成分法(商用周波電流中の直流成分を接地線より測定する。水トリー劣化により直流成分が検出される)。誘電正接法(ケーブルに商用周波交流電圧を印加し、誘電正接の温度特性・電圧特性などを測定して絶縁の状態を判定する)。部分放電法(ケーブルにボイドや外傷などの欠陥がある場合、ケーブルに高電圧を印加すると部分放電劣化が起き、絶縁破壊に至る場合があるため部分放電の有無を測定器により測定する)。 |
誘電正接とは何か述べよ。 | 誘電損を求める式中のtanδのことで、電圧と同相の電流Irと電圧より90°進んだ電流Icの比(Ir/Ic)のこと。誘電正接が小さいと誘電損も小さい。電極の抵抗成分や電極間の漏れ電流がIr成分である。 |
20または30kV配電線路から三相4線式230/400Vの利点を五つ述べよ。 | 設備及び用地の縮小化。電力損失・電圧降下の低減(電圧が5倍違えば電流が1/5で電圧降下が1/5、電力損失が1/25、送電容量は5倍。CO2排出量を抑制)。所要電線量が少ない。設備量が減少して事故が減る。電灯と動力設備を共用できる。 |
スポットネットワーク方式の概要について述べよ。 | 複数の配電線(通常3回線)から分岐線をいずれもT分岐で引き込み、それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続する。各低圧側はプロテクタ遮断器を経て並列に接続し、ネットワーク母線を構成する。(だんそうへんなひゅーしゃだん) |
スポットネットワーク方式の利点三つ述べよ。 | 信頼度が高い。電圧降下・電力損失・電圧変動が小さい。受電用遮断器やその保護装置の省略が可能であり、設置スペースの縮小と経費の削減ができる。 |
スポットネットワーク方式の欠点二つ述べよ。 | ネットワーク母線の信頼度を高くする必要がある。保護装置が複雑で建設費が高い。 |
ネットワークプロテクタの機能を三つ述べよ。 | 逆電力(逆電流)遮断特性。差電圧(過電圧)投入特性。無電圧投入特性。 |
塩害が及ぼす影響について三つ述べよ。 | がいし類の耐電圧が低下してフラッシオーバ事故となり、送電線の停止や発変電所の停止を引き起こす。木柱、腕木に生じるトリーバーニング・ポケットバーニング。ゴム・プラスチック系絶縁材料の絶縁電線に生じるトラッキング。 |
トラッキングの発生機構について述べよ。 | 絶縁電線の表面が塩分などで汚損された状態で湿潤を伴うと、電線表面の漏れ電流のジュール熱により局部的な乾燥帯が生じ、微小放電が起こり、炭化物が生成されるが、これが繰り返されると導電経路が形成される。 |
電力設備の塩害被害減少のための対策六つ程度述べよ。 | がいしを増結する等、がいし類の絶縁強化を行う。表面漏れ距離を大きくとった耐塩がいしの採用。設備の隠ぺい化・屋内収容化・GIS等の密閉機器採用。シリコンコンパウンド(はっ水性物質)塗布による表面への塩分付着防止。絶縁電線については耐塩性有機絶縁材料の採用。塩害地域を避けた配電線路のルート選定。 |
需要家電圧を適正な値に維持するため、配電用変電所においての方策を四つ述べよ。(配電線路のこう長が長く電圧降下が大きい場合の方策) | 負荷時タップ切替変圧器(LRT)または負荷時電圧調整器によって高圧配電線の送出電圧を調整する。タイムスケジュール方式(時刻別で送出電圧が変わる)、線路電圧降下補償器(LDC)方式(電圧継電器に系統内の一定点までの線路インピーダンスに比例したインピーダンスを挿入して、その点の電圧を一定に保つ)、及び両者の併用方式がある。昇圧器を使用する。調相設備により無効電力を調整する(電力用コンデンサ・分路リアクトル・静止型無効電力補償装置)。 |
需要家電圧を適正な値に維持するため配電線路における方策を五つ述べよ。 | 柱上変圧器の使用タップを変電所からの距離に応じ適正に選定する。電線を太くする。高圧線路用自動電圧調整器(SVR)を設置する。配電電圧を格上げする。力率改善用コンデンサを設置する。 |
需要設備の機器構成、交流電圧遮断器の種類について述べよ。 | “電力供給用計器用変成器(VCT)。断路器(DS)。計器用変成器(ZCT・VT・CT)。主遮断装置。保護継電器(地絡継電器GR、過電流継電器(OCR))。変圧器。高圧進相コンデンサ・直列リアクトル。避雷器。 交流電圧遮断器の種類:真空遮断器VCT。小油量遮断器(OCB)。磁気遮断器(MCB)。ガス遮断器(GCB)” |
特別高圧自家用需要家における代表的な五つの受電方式を述べよ。 | 1回線受電方式。本線・予備線受電方式。平行2回線受電方式。ループ受電方式。スポットネットワーク受電方式。 |
全停電・部分停電の発生原因について十つ程度述べよ。 | 電力会社の設備事故。保護協調不良・保護装置誤動作・誤不動作・選択設定ミス。絶縁不良。施工不良。保守不良。自然現象。鳥獣接触。他物接触等による短絡・地絡。故意・過失。過負荷によるヒューズ切れや配線用遮断器の動作。 |
欠相停電の発生原因について二つ述べよ。 | 3相のうち1相、単相の中性線の断線や端子の接触不良。配線の断線は人為的、小動物によるものがほとんど。 |
保護継電器の条件について述べよ。 | 選択性、信頼性、感度、動作速度、運用保守性。 |
電力系統の安定度の種類を二つ挙げよ。 | 定態安定度。過渡安定度。 |
定態安定度とは何か述べよ。 | 需要の変動などに応じて、各発電機の出力分担や送電網の潮流を緩やかに調整しても、脱調・系統分離・制動現象などが生じず、安定に運転を維持できる度合い。 |
同期化力とは何か述べよ。 | 同期化力とは、相差角のδの変化に対する出力Pの変化割合dP/dδをいう。同期運転が行われるにはdP/dδ > 0 であることが必要。 |
定態安定極限電力とは何か述べよ。 | 系統に接続された発電機の負荷が徐々に増加した場合に、励磁電流を保ったまま安定に運転できる極限における電力のこと。 |
過渡安定度とは何か述べよ。 | 電力系統が安定な運用状態にあるときに、負荷の急変、送電線路への落雷、線路の開閉、再閉路などの急激なじょう乱に起因する動揺が生じても、発電機の脱調や系統分離などに至らず、再び安定な運転状態に回復し得る度合いをいう。 |
“周波数変動を調整するための対策(24時間程度)を述べよ。長周期変動分、短周期変動分、微小変動分を用いること。 | “工場の始業・就業・電車のラッシュ等の十数分以上の長周期変動分(サステンド分)は、日負荷曲線によりある程度予想でき、計画運転により処理する。 電車の運転・停止・電動機の始動電流等十数分程度までの短周期変動分(フリンジ分)は火力発電所や水力発電所に設置された自動周波数制御装置(AFC)による調整をベースに中央給電指令所で周波数を監視し各発電機の出力を制御する。 事故等の発電機のトリップ等数分以内の微小変動分(サイクリック分)は発電機のガバナフリー(調速機で電力系統の周波数を検出して自動的に速度調定率に応じた出力調整を行う)または系統の自己制御性により吸収される。系統の自己制御性は負荷の自己制御性と水力・火力発電所に割り当てられたガバナフリー運転の発電機で行う。” |
ベース・ミドル・ピーク供給力について述べよ。 | ベース供給力:原子力・水力・火力。ミドル供給力:中容量火力・水力、毎日起動停止しある程度出力変動可能。ピーク供給力:火力(石油火力やガスタービン)・水力(貯水池式や揚水式) |
待機・運転・瞬動予備力について述べよ。 | 待機予備力:全負荷まで数時間、停止待機中の火力。運転予備力:10分程度以内、部分負荷運転中の水力発電や火力発電での出力余力や揚水発電などの待機中の水力。瞬動予備力:10秒程度以内、高速機運転分の余力(水力や火力発電のガバナフリー運転) |
電力系統においては負荷の変化又は電力潮流の変化によって系統電圧が変動するが、この系統電圧の調整方法を五つ述べよ。 | 発電機の励磁電流を増加させる。同期調相機を無負荷で運転し励磁電流を増加させる。電力用コンデンサの設置。分路リアクトルの設置。静止型無効電力補償装置(SVC)の設置。 |
発電機の励磁電流を増加させるとどうなるか。 | 発電機の励磁電流を増加させると内部誘導起電力が上昇し、遅れ電流が流出して遅相運転となって系統電圧が上昇する。 |
同期調相機を無負荷で運転し励磁電流を増加させるとどうなるか。 | 同期調相機を無負荷で運転し励磁電流を増加すると、無効電力を供給して電圧降下を防ぐ(ただし、経済性・運転・保守性の面で電力用コンデンサと分路リアクトル組み合わせに劣る)。 |
電力用コンデンサについて述べよ。 | 電力用コンデンサは進相無効電力を消費することによって電圧降下を防止するが、段階的で円滑な調整はできないが設備費は安価である。 |
分路リアクトルについて述べよ。 | 分路リアクトルは遅相無効電力を消費することによって電圧上昇を防止するが、段階的で円滑な調整ができない。 |
静止型無効電力補償装置(SVC)について述べよ。 | 静止型無効電力補償装置(SVC)は並列コンデンサ・分路リアクトルを用いてその調相容量を連続的かつ進相から遅相領域までサイリスタなどを用いて制御するようにしたもの。 |
短絡容量の増大により生じる問題を五つ程度述べよ 。 | 大容量の遮断機が必要。電磁誘導障害・感電の危険性が増大。通信線への電磁誘導障害が増加。事故時の鉄塔付近では人畜の感電の危険性が増大。通信機器の損傷が増大。 |
特別高圧の電力系統における短絡容量の増大について、送電系統の設備・運用面からみて短絡容量が増大する主な原因を四つ述べよ。 | 需要増大に対応した大容量火力・原子力・水力発電の開発。需要家における常時連携の分散電源の増加。基幹送電系統の多重ループ・グリッド化。連携強化による系統規模拡大。 |
特別高圧需要設備における短絡容量の増大に対する対策を四つ述べよ。 | 変圧器や自家用発電設備に高インピーダンス機器を採用する。限流リアクトルの採用。母線の分割。遮断器の遮断容量の増加。 |
電力系統に発生する瞬時電圧低下の発生原因について述べよ。 | 落雷などにより故障が発生すると故障個所の除去・復旧のために高速度再閉路や回線切り替えが行われるが、その間一時的に故障点を中心に電圧が降下する。 |
電力系統に発生する瞬時電圧低下の需要家機器への影響を四つ述べよ。 | 電子機器や半導体制御機器の負荷(直流変換電源装置)が誤動作や停止する。電磁接触器を用いたモータの自己保持回路が解かれモータが停止する。工場などの交流不足電圧継電器が動作する。サイリスタなどを応用した可変速モータの制御回路が異常となりモータの運転異常をきたす。 |
電力系統に発生する瞬時電圧低下の需要家側・機器側・系統側での対策を六つ述べよ。(需要家側三つ、機器側一つ、系統側二つ) | 遅延釈放形電磁開閉器を使用する。不足電圧継電器動作時限の許容範囲での長時限化。電圧変化を無停電形定電圧定周波電源装置(CVCF・UPS)で瞬時に補償する。サイリスタ等を使用している可変速モータの安全停止・自動再制御装置の採用。送電線の地中化により雷外回避。電源を需要家近傍に配置する。 |
フリッカ対策五つ述べよ。 | 電源を専用供給する。電圧階級の格上げ。線路インピーダンス(特にリアクタンス)の減少。直列コンデンサの設置。炉用直列リアクトルの設置。 |
高調波が各種電気機器に及ぼす障害を二つ述べよ。 | 高調波電流の流入による機器・電力用コンデンサ及び直列リアクトル・変圧器・回転機・ヒューズ・ブレーカーの過熱・焼損・振動・誤動作・鉄心のうなり。通信線への誘導障害。 |
発生源側での高調波の防止対策三つ述べよ。 | 交流フィルタの設置(パッシブフィルタ・アクティブフィルタ)。電力変換装置のパルス数を多くする(多相化)。PWM制御を用いた変換装置の採用。 |
障害を受ける機器側での高調波の防止対策二つ。 | コンデンサに直列リアクトル(一般にはコンデンサ容量の6%)を設置し、高調波に対してインピーダンスを誘導性にする。高調波過電流継電器を設置する。 |
障害を受ける系統側での高調波の防止対策二つ述べよ。 | 短絡容量の大きな(インピーダンスの小さい)系統に接続する。大きな高調波発生源に対しては専用線により供給する。 |
電力系統における高調波の発生源八つ程度述べよ。 | 交流直流変換装置。サイクロンコンバータ(周波数変換装置)。アーク炉。高周波電気炉。変圧器。リアクトル。回転機器。整流回路を有する事務用機器・家庭用機器(テレビ・パソコン等) |
停電波及事故に対する計画段階で考慮する事項六つ程度述べよ。 | 機器類の絶縁強度を完全にする。風雨、塩じんなど自然環境に十分耐えるものとする。引込口に避雷器を、引込線に架空地線の設置が望ましい。地絡遮断装置付き高圧負荷開閉器(GR付PAS)を設ける。自家用受電設備内の各種保護装置間の保護協調をとる。充電部分が露出しない構造とする。 |
停電波及事故防止のための施工上考慮すべき事項七つ述べよ。 | ケーブルの曲がりを取る。地中ケーブル深さについて。各表示について。端末処理を確実にする。零相変流器の確実動作のため、シールドを片端接地する(両端接地すると電流が流れて焼損したりする)。小動物の侵入防ぐ。施工チェック。 |
停電波及事故防止のための保守上考慮すべき事項五つ述べよ。 | 点検劣化診断を定期的に行う(温度上昇・異音・変色、浸水・冠水その他の異常の有無)。保護装置動作試験を定期的に行う。 |
誘導発電機の利点と欠点三つ程度述べよ。 | 点検保守簡単。励磁装置・電圧調整不要。力率・電圧・周波数調整できない。 |
保護継電装置の条件と保護方式四つ程度述べよ。 | 事故箇所を確実に検出し迅速に除去。事故除去区間を極限化し次区間の後備保護を行う。電力系統の供給側と受電側の動作時限協調。需要家構内の各区間は動作時限差方式によって保護協調。 |
電圧不安定現象の諸要因五つ述べよ。 | 電源の大規模化。大容量負荷の集中化。調相設備による電圧調整が段階的。負荷変化速度の増加。負荷の定電力化(冷房のように、電圧が低くても一定の電力を消費するため、負荷電流が増加する)。 |
電圧不安定現象の防止対策六つ述べよ。 | 電源の適正配置による潮流の偏差解消。調相設備の充実。送電線・変電所の増強。電力用コンデンサ等の調相設備の先行運転。需要地に近い発電機の停止回避。電圧高め運用。 |
電池電力貯蔵について動作原理と特徴を四つ述べよ。 | “動作原理:交流電力エネルギーを直流に変換し、化学物質の持つ化学エネルギーとして貯蔵する。蓄えられたエネルギーは直流電力として出力されるため、交流電力に変換して系統に供給する。電池には、鉛蓄電池、ナトリウムー硫黄(NaS)電池、レドックスフロー形電池、リチウムイオン電池などがある。 特徴:電池の容積あたりのエネルギー密度が高く、小型化しやすい。設置場所の制約が少なく、設置に要する期間が短い。電池の設置場所を確保できれば、大容量化も可能である。電池に寿命がある。” |
フライホイール電力貯蔵について動作原理と特徴を二つ述べよ。 | “動作原理:交流電力エネルギーでフライホイールを回し、回転エネルギーとして貯蔵する。エネルギー貯蔵量の変化に伴いフライホイールの回転数が変化するため、周波数変換器を用いてエネルギー授受を行う。 特徴:容積あたりのエネルギー密度が高く、小型化しやすい。機械的な制約などから貯蔵容量は中容量以下となる。” |
圧縮空気貯蔵について動作原理と特徴を三つ述べよ。 | “動作原理:交流電力エネルギーで3~6[MPa]の圧縮空気を貯蔵し、その圧縮空気をガスタービンに供給し、電力を発生させる。 特徴:圧縮ガスのエネルギー密度はさほど大きくない。貯蔵場所に地下空洞などを用い、大容量化が可能である。電力に変換するときは、ガスタービンにLNGなどの燃料が必要なため、純粋な電力貯蔵とは異なる。” |
構内の地絡故障保護には、受電点近くに設置した地絡過電流リレー(OCGR)などを用いるが、同期発電機を連系する場合の高圧配電系統の地絡故障保護には、地絡過電圧リレー(OVGR)を用いる理由を説明せよ。 | 配電線の地絡故障時には、地絡電流が配電用変電所側と発電機側との両方から地絡故障点へ供給されるが、高圧配電系統は非接地系統であり、同期発電機からの地絡電流は極めて小さいことから、地絡過電圧リレー(OVGR)を用いて地絡電圧を検出し保護する。 |
構内の短絡故障保護には、受電点近くに設置した過電流リレー(OCR)などを用いるが、同期発電機を連系する場合の高圧配電系統側の短絡故障保護には、短絡方向リレー(DSR)を用いる理由を説明せよ。 | 配電線の短絡故障時には、短絡電流が配電用変電所側と発電機側との両方から短絡故障点へ供給されるが、同期発電機からの短絡電流が比較的小さいため過電流リレー(OCR)の整定感度では検出できない場合があり、逆にOCRの感度を高くすると負荷電流などにより誤作動の原因となる。このため、同期発電機の場合は電流の方向も判断材料となる短絡方向リレー(DSR)を用いて保護する。 |
地絡過電圧リレー(OVGR)と短絡方向リレー(DSR)は配電用変電所の保護装置と時限協調を図って保護する理由を説明せよ。 | 地絡過電圧リレー(OVGR)と短絡方向リレー(DSR)は連系する配電線以外の配電線事故で動作しないようにする必要がある。そのため,事故配電線の遮断後に地絡過電圧リレー(OVGR)と短絡方向リレー(DSR)が動作するように時限協調を図る必要がある。 |
※令和4年度に二次試験を受験される方は、この他にも水力発電の内容から出題される可能性がありますので、しっかり勉強しておいた方が良いと思います。
いかがでしたでしょうか。参考にしていただけますと幸いです。