電気工事士の資格が不要な範囲を見極めよう
電気工事士の資格が不要な軽微な作業・工事については以下の記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。
電気のDIYをしよう 電気工事士が必要な工事・必要ない軽微な作業
電気工事士の資格を取得するのは面倒だし、お金もかかるし、時間もかかるので取るつもりは無いけど、無資格でもどうしても電気のコンセントと照明を取り付けたい!という方は多いと思います。
電気工事士の資格はあまり難しくないので、素人の方でも頑張って勉強すれば資格を取得できますが、資格の取得には費用が5万円程度かかってしまうというのがネックです。電気工事士については以下の記事にまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
第二種電気工事士を取得しよう!将来性や取得費用、合格率について
電気工事士の資格無しにコンセントや照明を取り付けしたい場合は、電気工事士法を読み解き、電気工事士の資格が無くてもできる作業・工事を見極める必要があります。
電気工事士の必要な作業・工事を見極めよう
電気工事士の資格が必要な作業・工事で、家庭の電気工事に関係するのは以下の項目になります。(詳しくはこちらの過去の記事も合わせてご参考にどうぞ)
- 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業
- 電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
- 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業
つまり、これらの条件をクリアすることができれば、電気工事士の資格がなくても電気のコンセントや照明を取り付けすることができます。まずは電気工事士の必要な作業・工事を見極めましょう。
以下のセクションでこれから説明していきますが、私なりに電気工事士法を解釈しての内容になりますので、違っている可能性があることをご了承ください。(電気工事士法の用語や文章に曖昧な部分が多くあるため、人によって解釈が変わってくる可能性があります)
①電線を直接造営材その他の物件に取付・取外 について
電線とは「絶縁電線」や「ケーブル」、「コード」のことです。
造営材とは「家の壁」や「柱」、「梁」のことです。
つまり簡単に言うと、「家の壁や柱などの造営材に、ステップルなどを使って直接ケーブルやコードを固定してはならない」ということです。
上の写真は一般住宅の天井裏の写真で、天井の石膏ボードは剥がれている状態です。
ステップルとはU字型のケーブルを固定させる支持材料のことなのですが、写真のようにステップル等にてケーブルを固定させることは、電気工事士の資格が無いとやってはいけません。(ちなみに、ケーブルではなく電線やコードは電気工事士の資格があってもステップル等で固定をしてはいけないのですが、これはまた別の機会にてご説明できたらと思います)
資格を持たない方がなぜケーブル等を固定させてはダメなのかというと、引っ張ったりした際にケーブル等にテンションが過度にかかった際、被覆が破れて内部の芯線が露出し、電気的短絡(ショート)することにより、感電や火災等の電気事故が発生する可能性があるためです。
故に、正しい知識を持つ資格を持った方でなければ、ケーブル等の固定をしてはならないと定められています。
電気工事士の不要な範囲で作業するには?
電線を固定して配線しなければ大丈夫です。床に転がして配線したり、両面テープ等を利用して仮止め程度ならば問題ないと考えます。電線に強いテンションが掛かったときに、固定が外れるようにしておく必要があると思われます。
ただし、必ず点検できるような所に配線する必要があります。天井裏を配線する場合は電気工事士の資格が必要です。電気工事士の資格を持たない方は天井裏等の容易に点検できないところに配線をしないようにしましょう。
②電線管、線樋ぴ 、ダクトその他に電線を収める について
電線管とは「ねじなし電線管」や「厚鋼電線管」、「可とう電線管」等、たくさん種類があります。
線ぴとは金属製の「メタルモール」や「レースウェイ」のことです。
これらに電線を収める作業は電気工事士でなければやってはなりません。
なぜダメなのかというと、電線を収める際に電線を傷つけてしまった場合、電気的短絡(ショート)がおこる可能性があり、最悪の場合は感電や火災等の電気事故が発生してしまうからです。
また、電線管に電線を収める場合、電線の収容率(配管の断面積に対する電線断面積の割合)等も考慮する必要があり、専門的な知識が必要です。
電気工事士の不要な範囲で作業するには?
樹脂製の配線カバー(ワゴンモール等)の中に電線を配線するなら問題ないと考えます。
上の写真は「未来工業株式会社」のワゴンモールの写真です。ホームセンターにも似たような商品が売っていますが、このような樹脂製の配線カバーにケーブルやコードを収めて配線するのであれば、電気工事士の資格は不要です。
念のためメーカーにも確認しましたが、テーブルタップ等のコードを樹脂製の配線カバーに収める作業は電気工事士の資格は不要であるとのことでした。
③配線器具を造営材や物件に取付、取外、電線接続について
配線器具とは「コンセント」、「照明スイッチ」、「ブレーカー」、「電球のソケット」、「テーブルタップ」等が該当すると考えられます。(電気工事士法における配線器具の定義が曖昧なので、違う可能性がありますことをご了承ください)
これらの配線器具を造営材に固定して取り付けたり、取り外したり、電線を接続したりする作業は電気工事士でなければやってはなりません。
資格を持たない方がなぜ配線器具等の固定をおこなってはダメなのかというと、引っ張ったりした際に配線器具にテンションが過度にかかった際、電線の被覆が破れて内部の芯線が露出し、電気的短絡(ショート)することにより、感電や火災等の電気事故が発生する可能性があるためです。
また、電線の接続をおこなってはダメな理由は、誤配線や誤った接続方法により、感電や火災等の電気事故が発生する可能性があるためです。
電気工事士の不要な範囲で作業するには?
机等にコンセントを取り付けしたい場合、市販されているテーブルタップを仮固定して取り付けることにより、コンセントとして使用することができます。
ここで注意しなければならないのは、完全に固定してはダメということです。必ずマグネットを利用したり、粘着テープで張り付けたりして仮固定して使うようにしましょう。
照明器具は市販されているプラグ付きの照明器具を利用すれば、電気工事士の資格が無くても取り付けすることができます。
要するに、コンセントに照明器具のプラグを差し込むだけで使用できるものであれば、電気工事士の免許がなくても照明器具を取り付けすることができます。(ちなみに、照明器具取付の際に電気工事士の資格が必要な製品は必ず取扱説明書の注意事項に電気工事士の資格が必要な旨の記述があります)
【電気工事士の資格が無くてもできる作業(一般家庭用)】
- コードやケーブルを両面テープなどで仮固定して配線する作業。ただし、天井裏など点検できないような所に配線してはならない。
- 樹脂製の配線カバーに配線を収めて配線する作業。
- テーブルタップをマグネットや両面テープで机等に仮固定する作業。
- プラグを差して使用することができる照明器具を取り付けする作業。
電気工事士の資格が不要な範囲でコンセントと照明を取り付けよう(実践編)
写真は私が実際に使用している机です。机の近くにコンセントが無いので、遠く離れたコンセントからテーブルタップを使用して電気を取っています。
赤い丸のコンセントから天井を配線してテーブルタップを机まで持って行きたいと思います。
ホームセンターで材料を買ってきました
- 3個口テーブルタップ 10m
- 100V用プラグ
- 樹脂製モール2号 白 2m
- 樹脂製モール2号用角カバー
- デスク用照明器具
- R型圧着端子
- 黒絶縁ビニールテープ
- マスキングテープ
- 両面粘着テープ
必要な道具類
- プラスドライバー(必須)
- メジャー(できれば) ※モールや配線の長さを測るのに使用します
- 作業用手袋(できれば) ※配線を剥く際に安全のため着用した方がいいです
- メガテスター(できれば) ※作業終了後に念のため絶縁を測定します
- 検電器(できれば) ※極性の確認に必要です
- ケーブルストリッパー(できれば) ※配線を剥くのに便利です
- 圧着ペンチ(必須) ※R端子の圧着に使用します。写真の圧着ペンチはリングスリーブ用ですので、正しくは裸圧着端子用を使用する必要がありますのでご注意ください。ちなみにですが、裸圧着端子用の圧着ペンチは握る部分が赤色です。
- ペンチ(できれば) ※配線を切断したりする際に使用します
- テスター(できれば) ※電圧の確認に必要です
- 電工ナイフ(必須) ※配線の被覆を剥くのに使用します。カッターナイフでも可
- 万能はさみ(必須) ※モールの切断等に使用します
ベッセル(VESSEL) ボールグリップドライバー +2×100 220
ベッセル(VESSEL) ボールグリップドライバー -5.5×100 220
コンセントと照明を取り付けよう(実践編)
壁紙が剥がれないようにするために、配線ルートにマスキングテープを貼り付けます。モールは両面テープにて固定しますので、壁紙を痛めないようにする配慮です。
マスキングテープを貼ったところに、その上からモールの土台を貼り付けます。
【後日追記】数年すると、マスキングテープが剥がれ、モールが天井から落ちてしまいました。そのため、壁紙が剥がれてしまうリスクはありますが、直接壁や天井に両面テープを張り付けて、モールを固定した方が良かったかもしれません。もしくは見た目を気にしなければ、両面テープにケーブルを直接貼り付けてもいいと思います。
ちなみに、モールには両面テープが既に貼ってあります。(貼っていない商品の場合は、自分で両面テープを貼る必要があります)
モールの土台に配線を添わせるようにして上からカバーを取り付けます。モールはカバーと土台で2つのパーツに分割できます。
角の部分は専用のカバーで隠すようにするとかっこよくなります。
机の脚付近に持って行ったテーブルタップの裏側に両面テープを貼ります。
机の脚にテーブルタップを貼り付けて仮固定します。※ビス等を使用してテーブルタップをガチガチに固定する場合、電気工事士の資格が必要となります。
コンセント側ですが、テーブルタップが長かったので、だいぶ配線が余ってしまいました。
余分なケーブルを切断しましょう。
切断面はこのような感じになっています。
電工ナイフを使って配線を剥きましょう。
このような感じに配線を剥きましょう。
圧着ペンチを使ってR端子を圧着します。写真はリングスリーブ用の圧着ペンチを使用しておりますが、正しくは裸圧着端子用の圧着ペンチを使用してください。※2021年7月5日:見ていただいた方からコメントをいただき、ミスに気が付きました。大変失礼しました。
R端子の圧着ができました。
芯線が露出しないように絶縁ビニールテープを巻きつけます。
写真のプラグを取り付けます。※コンセントやスイッチ等の配線器具の接続作業は電気工事士の資格が必要なのですが、プラグの付け替えに伴う接続作業であれば、電気工事士の資格は不要です。
プラグにR端子を接続します。
R端子の取付完了です。
プラグの根元に追加で絶縁ビニールテープを巻き、プラグのふたをしてネジを締め付けます。
プラグをコンセントに差し込みます。
コンセントは正面から見ると[ I I ]のような形をしていますが、実は左右で長さが違います。一般家庭の通常のコンセントは短い方にのみ100Vの電気が流れていますので、検電器で確認しましょう。
電圧が100Vあるか確認しましょう。
机に照明を取り付けます。
机の脚に取り付けたテーブルタップに照明器具のプラグを差し込みます。
作業が完成しました。写真のように天井を配線しています。以前はテーブルタップの配線が足元にあって邪魔でしたが、改善されてスッキリしました。
机にコンセント(テーブルタップ)と照明を取り付けました。この程度の電気工事であれば資格が無くても大丈夫のはずです。
いかがでしたでしょうか。電気のDIYをする場合はぜひご参考にしてみてください。
資格のことから身近なことまで、電気に関する質問を募集していますので、何かありましたらコメントまでよろしくお願いします。面白い質問があれば記事にしたいと思います。