本記事では、電気のDIYと電気工事士の資格について、関連する法律や公的資料へのリンクも交えながら分かりやすく解説します。
コンセントやスイッチをDIYで触りたい人は、作業に入る前にぜひ一度読み切ってください。

なお、このブログでは DIY・修理カテゴリ で、コンセントや照明スイッチの具体的な交換手順も写真付きで紹介しています。
その前提として「どこまで自分でやっていいのか?」を整理するのが本記事のゴールです。


この記事で分かること

  • どんな電気のDIYに「電気工事士の資格」が必要か
  • どこまでなら資格なしでできる「軽微な作業・工事」か
  • 「電気工作物」「一般用電気工作物」といった用語の意味
  • 電気のDIYを本格的にやりたい人が、なぜ第二種電気工事士を目指すとよいのか

まず知っておきたい前提:電気のDIYと法律

コンセントや照明スイッチが壊れたとき、
「自分で部品を買ってきて交換すれば、安く早く直せるんじゃない?」
と考える方は多いと思います。

実際、手順だけを見れば、家庭の照明スイッチやコンセントの交換はそれほど難しくなさそうに見えることもあります。
しかし、配線の接続を間違えたり、絶縁処理が不十分だったりすると、感電や電気火災などの重大事故につながる危険があります。

こうした事故を防ぐために、「電気工事士法」という法律があり、
電気工事をしてよい人の範囲(=資格を持った人)が定められています。
法令全文は、政府の「e-Gov法令検索」から確認できます。

電気工事士法 第3条第2項では、要約すると、
第一種または第二種電気工事士の免状を持っていない人は、一般用電気工作物に係る電気工事の作業を行ってはならない
と規定されています。

また、無資格で電気工事を行った場合、一定の条件では懲役または罰金といった罰則が科されることもあります。
つまり、「電気のDIYだから自己責任でOK」という話ではなく、法律でNGな作業もハッキリ決まっているということです。


「一般用電気工作物」とは?――家庭の設備を指す言葉

さきほどの条文に出てきた「一般用電気工作物」は、電気工事士法や電気事業法で扱われる専門用語です。
言葉だけ聞くと難しく感じますが、イメージとしては次のような設備が含まれます。

  • 600V以下で受電する、家庭や小規模店舗などの屋内配線設備
  • 家庭内の分電盤、コンセント、スイッチ、照明器具などに関する配線

経済産業省の電気工作物関連の資料でも、家庭や小規模店舗の屋内配線などは「一般用電気工作物」の代表例として扱われています。

つまり、一般家庭のコンセント・スイッチ・照明などの設備は、基本的に一般用電気工作物に含まれます。
そのため、これらに手を加える工事は、原則として電気工事士の資格が必要となってきます。


第一種電気工事士と第二種電気工事士の違い

電気工事士には、第一種電気工事士第二種電気工事士の2種類があります。

  • 第一種電気工事士
    工場・ビルなどの自家用電気工作物(最大電力500kW未満の設備など)に加え、
    一般家庭のような一般用電気工作物の電気工事も行うことができます。
  • 第二種電気工事士
    主に一般用電気工作物(一般家庭や小規模店舗など、600V以下で受電する設備)の電気工事を行うことができます。

第一種は第二種の上位資格です。
ただし、一般家庭のコンセントやスイッチ、照明などの工事であれば、通常は第二種電気工事士で十分対応できます

第二種電気工事士の試験日程や費用・合格率・勉強法については、
第二種電気工事士を取得しよう!〖令和8年度〗日程・将来性・費用・合格率 で詳しくまとめています。


「電気工事士の資格が必要な作業・工事」

ここで気になるのが、
「電球交換や延長コードの取り付けのような簡単な作業にも資格が必要なのか?」という点です。

これを整理するために、まず資格が必要な作業の範囲を確認します。
電気工事士法施行規則 第2条第1項に、電気工事士の免状が必要な作業が列挙されています。

条文は専門用語が多いですが、一般家庭のDIYと関係が深い部分を、生活の場面に合わせて言い換えると、次のような作業が「資格が必要」となるイメージです。

日常生活に関係が大きい代表的な作業

  • 電線どうしを接続する作業
  • 電線・ケーブル・コード類を、家の柱・壁など(造営材)に取り付けたり外したりする作業
  • 電線管・ダクト・モール(樹脂製・金属製)などの中に電線を通す作業
  • コンセントやスイッチなどの配線器具を、壁や柱に取り付け・取り外しする作業
  • コンセントやスイッチなどの配線器具に、電線・ケーブル・コード類を接続する作業

つまり、次のような工事は電気工事士の資格が必須ということになります。

  • コンセントの取り替え
  • 照明スイッチの取り替え
  • 壁や柱に固定して行う電気配線

このあたりは、見た目ほど難しくなさそうに感じる作業ですが、
法律上は「電気工事士でなければ行ってはいけない作業」に該当するので注意が必要です。

実際の作業手順が知りたい方は、資格を持っていることを大前提として、以下のような記事で詳しく解説しています。


「軽微な作業・工事」――資格が不要とされる範囲

一方で、電気工事士法施行令 第1条には、電気工事士の資格が不要な「軽微な工事」も定められています。

法令上「軽微な工事」とされる代表例(イメージ)

条文を日常のイメージに合わせてかみ砕くと、次のような工事は「軽微な工事」とされ、資格が不要な範囲に分類されます。

  1. 電圧600V以下で使用するプラグ・ソケット・ローゼット・小型スイッチなどに、コードやキャブタイヤケーブルを接続する工事
  2. 電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く)や蓄電池の端子に、電線をねじ止めする工事
  3. 電圧600V以下で使用する電力量計(メーター)、電流制限器、ヒューズの取り付け・取り外し工事
  4. 二次電圧36V以下のインターホンや火災感知器など、小型変圧器の二次側配線工事
  5. 電線を支持する柱や腕木の設置・変更工事
  6. 地中電線用の暗渠(管)を設置・変更する工事

一般家庭での具体例

もう少し身近な例にすると、次のような作業が「軽微な工事」に当たるイメージです。

  • プラグ(差し込み接続器)にコードを接続する作業
  • ブレーカーなどの開閉器の二次側に、機械装置のコードを接続する作業
  • 一般家庭で使用する電気機器の端子に、ケーブルをねじ止めする作業
  • 家庭用電力量計の交換やヒューズの交換
  • 二次電圧36V以下のインターホン・火災感知器の二次側配線工事

これらは法律上、「軽微な工事」として電気工事士の資格が不要とされています。
ただし、電気を扱う作業であることには変わりないため、安全に十分注意して行うことが大前提です。

「どうしても資格なしで、法律の範囲内でコンセントや照明を取り付けたい」というニーズに対しては、
電気工事士の資格が不要な範囲でコンセントと照明を取り付けよう で、具体的な実践例を紹介しています。


「電気工作物から除かれる工作物」――そもそも対象外のもの

さらに、電気事業法施行令 第1条では、「これは電気工作物に含めない」とされる設備も定義されています。

その中に、要約すると、
電圧30V未満で、電圧30V以上の電気設備と電気的に接続されていない電気設備は、電気工作物に含めない、という規定があります。

この規定に当てはまる具体例として、次のようなものが考えられます。

  • 電圧24Vのインターホンの取り替え
  • 電圧24Vの自動車用バッテリーの交換

このような設備は、電気工作物の工事には当たらないため、電気工事士の資格は不要とされています。
とはいえ、自動車のバッテリー交換などは手順を誤ると重大な事故につながるため、自信がない場合はプロに任せた方が安全です。


ここまでの整理:資格が必要なところ/不要なところ

資格が必要な代表例(一般家庭まわり)

  • 壁や柱に固定して行う電気配線工事
  • コンセントやスイッチなどの配線器具の取り付け・取り替え
  • コンセント・スイッチへの電線接続
  • 分電盤の取り付けや、高圧で使用する電気機器への電線接続 など

軽微な工事として資格が不要な代表例

  • 電圧600V以下用のプラグ・ソケット・ローゼットなどにコードを接続する工事
  • 家庭用機器の端子にケーブルをねじ止めする工事
  • 家庭用電力量計の交換やヒューズの交換
  • 二次電圧36V以下のインターホン・火災感知器などの二次側配線工事

そもそも電気工作物に含まれない代表例

  • 24Vインターホンの交換(上位の30V以上の電気設備と電気的に接続されていない条件のもの)
  • 24V自動車用バッテリーの交換 など

このように、「どこからが電気工事士の資格が必要な工事か」「どこまでが軽微な工事か」は、電気工事士法や電気事業法とその施行令・施行規則で細かく線引きされています。


DIYで電気工事をしたいなら――第二種電気工事士を目指す意味

ここまで見てきたように、コンセントや照明スイッチの取り替えなど、
「ちょっとしたDIY」で済ませたくなる作業の多くが、実は電気工事士の資格が必要な範囲に含まれています。

そのため、電気のDIYを本格的に楽しみたい場合は、第二種電気工事士の資格を取ってしまうのが一番安全で確実です。

第二種電気工事士は、「一般用電気工作物」の工事に必要な知識と技能を対象とした国家資格です。
試験の概要や日程などは、試験実施団体である 電気技術者試験センター のサイトで確認できます。
一般財団法人 電気技術者試験センター

この資格を取得すると、法律の範囲内でできるDIYの幅が大きく広がり、
コンセントやスイッチの交換、照明器具の取り替えなども、自分の責任で安全に行えるようになります


まとめ

  • 家庭のコンセントや照明スイッチの取り替えは、一般用電気工作物に係る電気工事にあたり、電気工事士の資格が必要です。
  • 電気工事士法施行規則 第2条第1項に列挙された作業(配線、配線器具の取り付けなど)は、原則として無資格で行ってはいけない作業です。
  • 電気工事士法施行令 第1条で定められた「軽微な工事」(プラグへのコード接続、電力量計の交換など)は、資格が不要とされています。
  • 電気事業法施行令 第1条では、一定条件を満たす24Vインターホンや車載バッテリーなど、電気工作物から除外される設備も定義されています。
  • 電気のDIYを本格的に行いたい場合は、第二種電気工事士の資格取得を目指すことで、法律の範囲内で安全に作業できるようになります。

電気は目に見えない分、誤った作業は重大な事故につながります。
資格がない方は、資格が必要な範囲の工事を決して真似しないこと。
「どうしても自分でやりたい」という場合は、まず資格を取ることを強くおすすめします。


参考リンク