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電気関係の修理等は電気工事士の資格が必要
家のコンセントが壊れているから自分で取替したい!とか、照明のスイッチが古くてカッコ悪いからモダンなデザインにしたい!とか考える方は多いと思います。
こういった作業はインターネットサイトやyoutube動画を参考にすれば、簡単に取り替えできると安易に考えている方が多いと思います。
実はその通りで、家庭の照明スイッチやコンセントを取り替えるぐらいならば、結構簡単に取り替えできてしまいます(笑)。
しかしながら、作業のやり方を誤ると、感電や電気火災など重大事故の原因となります。素人がむやみに電気工事を行うと、感電したり、火事になったり、大変危険です。
電気は目に見えず捉えどころがないため、電気のことを勉強して知識のある方でなければ理解が難しいです。
そのようなことがないように、電気工事士法が定められており、電気工事を行う際のルールが決められています。
その中に、電気関係の作業や工事は電気工事士の有資格者でないと行ってはならないと定めれらています。
電気工事士法第3条には以下のように述べられています。
第三条 2項 第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない。
無資格で電気工事をした場合、懲役や罰金が科せられる場合さえありますので、十分気を付けましょう。
※ただし、電気関係の作業や工事の中でも、【軽微な作業・工事】であれば電気工事士の資格が不要なものもあります。この【軽微な作業・工事】については後程詳しく後述します。
第一種電気工事士と第二種電気工事士の違いは?
電気工事士は、第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類があります。
第一種電気工事士は500kW未満の自家用電気工作物(工場、ビル等の大規模な電気設備等)及び一般用電気工作物(一般家庭など600V以下で受電する電気設備等)の電気工事をすることができます。(※kWはキロワットと読み、電力のこと。Vはボルトと読み、電圧のこと)
第二種電気工事士は一般用電気工作物(一般家庭など600V以下で受電する電気設備等)の電気工事をすることができます。
つまり、第一種電気工事士は第二種電気工事士の上位資格となります。一般家庭の電気工事であれば、第二種電気工事士の資格で十分です。
電気工事士の必要ない軽微な作業・工事について
ということは、電球の交換や延長コードの取付のような簡単な電気関係の作業にも電気工事士の免許が必要なのでしょうか?ご安心ください、これからお伝えしますが、軽微な作業・工事であれば免許は必要ありません。
電気工事士が必要な作業・工事
電気工事士法施行規則 第二条にて電気工事士の資格が必要な作業・工事が定められているのですが、具体的には以下のような作業・工事が該当します。※裏を返せば、以下の作業・工事以外は電気工事士の免許が不要です。(厳密に言うと、自家用電気工作物の保安上支障が無いと認められる作業である必要がありますが、一般家庭用の電気工事であれば気にしなくても大丈夫です)
- 電線相互を接続する作業(電気さく(定格一次電圧三百ボルト以下であつて感電により人体に危害を及ぼすおそれがないように出力電流を制限することができる電気さく用電源装置から電気を供給されるものに限る。以下同じ。)の電線を接続するものを除く。)
- がいしに電線(電気さくの電線及びそれに接続する電線を除く。)を取り付け、又はこれを取り外す作業
- 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業
- 電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
- 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)
- 電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
- 金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
- 電線、電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業
- 金属製の電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業
- 配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業
- 接地線(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち最大電力五百キロワット未満の需要設備において設置される電気機器であつて電圧六百ボルト以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
- 電圧六百ボルトを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
- 接地線を一般用電気工作物(電圧六百ボルト以下で使用する電気機器を除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
電気工事士法施行規則の内容をほぼそのまま載せており内容がちょっと難しいと思いますが、大事なのは③~⑤です。それ以外はプロの電気工事屋さんがやるような仕事ですので、気にしなくて大丈夫です。
③~⑤を身近な例で言い換えると以下のようになります。
- 電線やケーブル、コード類を家の壁や柱等の造営材に取り付け、取り外し。
- 電線やケーブル、コード類を机や棚等の物件に取り付け、取り外し。
- 電線管や金属のモール、金属のダクトに電線やケーブル、コード類を収める。
- コンセントやスイッチ等の配線器具を家の壁や柱等の造営材に取り付け、取り外し。
- コンセントやスイッチ等の配線器具を机や棚等の物件に取り付け、取り外し。
- コンセントやスイッチ等の配線器具に電線やケーブル、コード類を接続する。
ご覧いただいて分かるように、電気工事士の資格が無いと、コンセントの取替やスイッチの取替、電線を造営材に固定して配線することができません。
電気工事士の必要ない軽微な作業・工事
先ほどのセクションでは電気工事士の資格が必要な作業・工事についてお伝えしましたが、電気工事士法施工令 第一条 にて、電気工事士の資格の必要ない軽微な作業・工事が定められています。その内容は以下になります。
- 電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具(※コンセントやスイッチのこと)を除く。以下同じ。)又は電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
- 電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
- 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事
- 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
- 地中電線用の暗渠(きよ)又は管を設置し、又は変更する工事
電気工事士法施行令の内容をほぼそのまま載せており内容がちょっと難しいと思いますので、身近な例で言い換えると以下のようになります。
- 差込み接続器(プラグ)に電線を接続する工事及びブレーカー等の開閉器の2次側に機械装置などのコードを接続する工事
- 一般家庭で使用する電気機器の端子にケーブルをネジ止めする工事
- 一般家庭で使用する電力量計の交換、ヒューズの交換
- 二次電圧が36V以下のインターホーン、火災感知器の二次側配線工事
- 電線を支持する柱や腕木を設置又は変更する工事
電気工作物から除かれる工作物について
さらに、電気事業法施行令の第一条にて、「電気工作物から除かれる工作物」について定義があるのですが、一部抜粋したものが以下になります。
- 電圧三十ボルト未満の電気的設備であつて、電圧三十ボルト以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの
つまり、電圧24Vのインターホンの取替や、電圧24Vの車のバッテリーの交換は、電気工作物の工事とみなされないため電気工事士の資格は必要ありません。(ただし、車のバッテリー取替は手順を間違えると大変危険ですので、プロの方に任せた方が安全です。)
まとめ
重ねてになりますが、コンセントや照明スイッチの取替には、必ず電気工事士の資格が必要です。
これからこのブログでは電気関係のDIYを紹介していきますが、電気工事士の免許が無い方はくれぐれも真似をしないようにお願いします。
もしくは、頑張って電気工事士の免許を取得しましょう。私自身も独学で電気工事士の勉強をして資格を取得しました。
電気工事士を持っているとDIYの幅が広がりますので、是非おすすめです。
電気工事士の資格の取得に興味のわいた方は以下の記事もぜひご覧ください。
第二種電気工事士を取得しよう!将来性や取得費用、合格率について
電気工事士の資格は持って無いけど、コンセントや照明を取り付けしたい方は以下の記事もぜひご参考にしてみてください。
電気工事士の資格が不要な範囲でコンセントと照明を取り付けよう
また、電気工事の資格を持っている方で、コンセントやスイッチの交換方法を知りたい方はこちらのカテゴリもぜひご覧ください。
資格のことから身近なことまで、電気に関する質問を募集していますので、何かありましたらコメントまでよろしくお願いします。面白い質問があれば記事にしたいと思います。