光束・光度・照度・輝度・立体角の違いをわかりやすく解説

照明の勉強をしていると、
光束・光度・照度・輝度という似たような言葉が出てきます。
さらに、光度を理解するためには立体角という考え方も必要になります。

最初は混乱しやすいですが、
「光源 → 光の方向 → 照らされる面 → 人の目」
という順番で考えると、非常に分かりやすくなります。

この記事では、電気関係の資格試験でも使えるレベルまで、できるだけ直感的に解説します。

まずは5つの用語を一覧で整理

名称 記号 単位 意味 簡単にいうと
光束 Φ lm
ルーメン
光源から出る光の総量 全部の光
光度 I cd
カンデラ
ある方向への光の強さ 方向ごとの強さ
照度 E lx
ルクス
面に入ってくる光の量 当たる光
輝度 L cd/m² ある方向から見た面の明るさ 見える明るさ
立体角 Ω sr
ステラジアン
3次元空間での広がり 光が広がる範囲
覚え方
光束 = 全部でどれだけ光が出るか
光度 = どの方向にどれだけ強く出るか
照度 = 面にどれだけ光が当たるか
輝度 = その面がどれだけ明るく見えるか

光の流れを図で理解する

① 光束 Φ[lm]とは

光束(こうそく)とは、光源から出ている光の総量を表します。
単位はlm(ルーメン)です。

例えばLED電球の商品説明に、

810 lm

と書かれていれば、その電球から出る光の量を表しています。

光束は「どの方向に出ているか」ではなく、全体としてどれだけ光を出しているかを表します。

② 光度 I[cd]とは

光度とは、ある特定の方向に対して光源が出す光の強さです。
単位はcd(カンデラ)です。

例えば、同じ1000 lmの光束を持つ照明器具でも、
広い範囲を照らす照明と、狭い範囲だけを照らすスポットライトでは光度が異なります。

狭い範囲に光を集中させるスポットライトの方が、
その方向の光度は大きくなります。

光束と光度の関係

光が一定の立体角に均一に分布すると考えた場合、次の関係になります。

I = Φ ÷ Ω

I:光度[cd]
Φ:光束[lm]
Ω:立体角[sr]

より厳密には、光度は次のように表されます。

I = dΦ / dΩ
同じ光束でも、狭い範囲に光を集中させるほど光度は大きくなると覚えておけば理解しやすいでしょう。

③ 立体角 Ω[sr]とは

立体角とは、簡単にいうと3次元空間における広がり具合です。

普通の角度は平面的な広がりを表します。
一方、立体角は円すい状に広がるような、空間的な広がりを表します。

単位はsr(ステラジアン)です。

立体角の基本式

Ω = A ÷ r²

Ω:立体角[sr]
A:球面上の面積[m²]
r:球の半径[m]

例えば、半径1mの球面上で1m²の面積を占めている場合、

Ω = 1 ÷ 1² = 1 sr

となります。

球全体の立体角

半径rの球の表面積は、

4πr²

なので、

Ω = 4πr² ÷ r² = 4π sr

したがって、球全体の立体角は、

4π sr

です。

立体角は、「光が空間のどれくらいの範囲に広がっているか」と考えると分かりやすいです。

④ 照度 E[lx]とは

照度とは、机・床・壁などの面にどれだけ光が入ってきているかを表します。
単位はlx(ルクス)です。

日常生活で「机の上が何ルクスあるか」という場合は、この照度を表しています。

照度の基本式

光が均等に面へ入射している場合、

E = Φ ÷ A

E:照度[lx]
Φ:光束[lm]
A:面積[m²]

したがって、

1 lx = 1 lm/m²

です。

光度から照度を求める

電気関係の資格試験では、光束から照度を求める式以上に、
光度と距離から照度を求める式が重要です。

光が面に対して垂直に入射する場合、

E = I ÷ r²

E:照度[lx]
I:光度[cd]
r:光源から面までの距離[m]

計算例

光度400cdの光源から2m離れた位置の照度を求めます。

E = 400 ÷ 2²
= 400 ÷ 4
= 100 lx
答え:100 lx

距離が2倍になると照度は1/4になる

照度は距離の2乗に反比例します。

E ∝ 1 / r²

これを距離の逆二乗則といいます。

距離が2倍になると、

1 ÷ 2² = 1/4

なので照度は1/4になります。

距離が3倍なら、

1 ÷ 3² = 1/9

となります。

試験で非常に重要
距離2倍 → 照度1/4
距離3倍 → 照度1/9

斜めから光が当たる場合

光が面に垂直ではなく、斜めから当たる場合は、
余弦則を考慮します。

E = I cosθ ÷ r²

θは、光の進行方向と面の法線との角度です。

計算例

I=800cd、r=2m、θ=60°の場合、

E = 800 × cos60° ÷ 2²

cos60°=0.5なので、

E = 800 × 0.5 ÷ 4
= 100 lx
答え:100 lx

⑤ 輝度 L[cd/m²]とは

輝度とは、ある方向から見たときに、
その面がどれくらい明るく見えるかを表す量です。

単位はcd/m²です。

照度と輝度は非常に混同しやすいですが、次のように考えると分かりやすくなります。

照度 = 面に入ってくる光
輝度 = 面から目の方向へ出てくる光

白い紙と黒い紙で考える

白い紙と黒い紙に、どちらも500lxの光を当てたとします。

この場合、照度はどちらも500lxです。

しかし、人間の目には白い紙の方が明るく見えます。
これは白い紙の方が多くの光を反射するためです。

つまり、

同じ照度でも、表面の反射率によって輝度は変わる。

ということです。

照度と輝度の関係

完全拡散面、いわゆるランバート面として考えた場合、
照度と輝度には次の関係があります。

L = ρE ÷ π

L:輝度[cd/m²]
ρ:反射率
E:照度[lx]

白い面の例

照度500lx、反射率80%、つまりρ=0.8の場合、

L = 0.8 × 500 ÷ π
≒ 127 cd/m²

黒い面の例

同じ500lxでも、反射率10%、つまりρ=0.1の場合、

L = 0.1 × 500 ÷ π
≒ 16 cd/m²

照度は同じ500lxでも、

白い面:約127 cd/m²
黒い面:約16 cd/m²

となり、見た目の明るさには大きな差が生じます。

水やシャワーに例えて覚える

光をシャワーの水に例えると、さらに理解しやすくなります。

照明の用語 シャワーで例えると
光束 シャワーから出る水の総量
光度 特定の方向へ飛ぶ水の強さ
立体角 シャワーが広がる範囲
照度 床1m²に落ちてくる水の量
輝度 床から自分の方へ跳ね返ってくる水

光束・光度・照度・輝度を1つの例で考える

1000lmの照明器具が天井についているとします。

照明器具全体から出ている光が、

光束 Φ = 1000 lm

です。

そのうち、真下方向への光の強さが、

光度 I = 500 cd

だったとします。

机までの距離が2mなら、

E = 500 ÷ 2²
= 125 lx

となります。

これが机の上の照度です。

そして、その光が机で反射し、人間の目に入ってきます。
そのときに感じる面の明るさを表すのが輝度です。

試験問題での見分け方

問題文に出てくる表現 考える量
光源全体から出る光の量 光束[lm]
ある方向への光の強さ 光度[cd]
机上面・床面の明るさ 照度[lx]
面がどれくらい明るく見えるか 輝度[cd/m²]
光が空間的に広がる範囲 立体角[sr]

覚えておきたい重要公式

光度

I = Φ ÷ Ω

※光束が立体角内に均一に分布している場合。厳密には I=dΦ/dΩ。

立体角

Ω = A ÷ r²

照度

E = Φ ÷ A

光度と距離から照度を求める

E = I ÷ r²

斜めから入射する場合

E = I cosθ ÷ r²

完全拡散面の輝度

L = ρE ÷ π

最後にもう一度整理

用語 単位 一言で覚える
光束 Φ lm 光の総量
光度 I cd ある方向への光の強さ
立体角 Ω sr 空間的な広がり
照度 E lx 面に当たる光
輝度 L cd/m² 目に見える面の明るさ

最も大切なイメージ

光源
↓
光束:全部の光
↓
光度:ある方向への光の強さ
↓
照度:面に当たった光
↓
反射
↓
輝度:目から見た面の明るさ

光束・光度・照度・輝度は名前が似ていますが、
「光のどの段階を見ているのか」を意識すると整理しやすくなります。

特に電気関係の資格試験では、
E=I/r²の逆二乗則と、
E=Icosθ/r²の余弦則は重要なので、意味と合わせて覚えておきましょう。