電気工事士の資格なしでできること・できないこと【わかりやすく解説】

「コンセントを増やしたい」「机のまわりをスッキリ配線したい」──そんなときに気になるのが、電気工事士の資格が必要かどうかです。
この記事では、電気工事士法にもとづいて、
一般の人がしてもよい作業資格がないとやってはいけない作業を、できるだけやさしく整理します。

電気工事士の資格が不要な軽微な作業・工事については以下の記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。電気のDIYをしよう 電気工事士が必要な工事・必要ない軽微な作業

 


資格が必要になる電気工事の基本ルール

家庭の電気工事で電気工事士の資格が必要とされる代表的な作業は、ざっくり次の3つです。

  • 電線を壁・柱などの造営材に直接固定したり外したりする作業
  • 電線管や金属製モールの中に電線を通す作業
  • コンセントやスイッチなどの配線器具を固定したり、電線を接続したりする作業

ここに当てはまる作業は、無資格ではやらないというのが基本的な考え方です。


電線を壁や柱に直接固定する作業について

まず1つ目は、電線を壁や柱に直接固定する作業です。

例えば、次のような作業は資格が必要になります。

  • 電線・ケーブル・コードを、壁や柱にステップル(U字の釘)などで打ち付けて固定する
  • 梁や天井などの造営材に、電線をガッチリ固定する

なぜダメなの?

  • 強く引っ張られたときに、電線の被覆が破れて芯線が露出する危険がある
  • ショート、感電、火災の原因になる
  • 安全に施工するには専門知識が必要

そのため、「造営材に直接打ち付けて固定」は、電気工事士だけができる作業と考えられています。

資格なしでやるならどうする?

ポイントは、「強く固定しない」=無理な力がかかったら外れる状態にしておくことです。

  • 床にケーブルを転がしておく
  • 両面テープなどで軽く仮止めする程度にとどめる

また、天井裏や壁の中など、ふだん点検できない場所に配線するのはNGです。
そういった見えない場所の工事は、必ず資格をもった電気工事士に依頼しましょう。


電線管・金属モールに電線を通す作業について

2つ目は、電線管や金属モールの中に電線を通す作業です。

  • ねじなし電線管・可とう電線管(CD管など)に電線を通す
  • 金属製モール(メタルモール・レースウェイなど)に電線を収める

これも原則として電気工事士の仕事とされています。

理由は?

  • 管や金属モールに通すとき、電線の被覆を傷つけるおそれがある
  • 電線管にどのくらい電線を入れてよいかなど、収容率の計算が必要
  • 誤った施工をすると、ショート・火災のリスクが高くなる

資格なしでやるならどうする?

樹脂製の配線カバー(樹脂モール・ワゴンモールなど)に、テーブルタップのコードや電源ケーブルを通して見た目をスッキリさせる程度であれば、一般的に資格不要と考えられています。

金属モールや電線管はプロの領域、
素人は「樹脂モールで見た目を整える」くらいまで、と覚えておくと安全です。


コンセントやスイッチなど配線器具の取り付けについて

3つ目は、配線器具の取り付け・接続です。

ここでいう配線器具の例:

  • 壁のコンセント
  • 照明スイッチ
  • ブレーカー
  • 電球ソケット
  • テーブルタップ(延長コードのコンセント部分)など

これらを

  • 壁や柱にしっかり固定する
  • 電線を直接接続する

といった作業は、電気工事士の仕事と考えられています。

理由は?

  • 固定の仕方が悪いと、電線に無理な力がかかり被覆が破れる危険がある
  • 接続を間違えると、感電や火災につながる

資格なしで机にコンセントをつけたい場合

次のような方法なら、一般の人でも行いやすいです。

  • 市販のテーブルタップ(延長コード)を使う
  • それを机にマグネットや両面テープで仮固定して使う(ビスでガッチリ固定は避ける)

資格なしで照明をつけたい場合

  • コンセントにプラグを差すタイプの照明器具を選ぶ
  • 説明書に「取付には電気工事士の資格が必要」とあるものは、自分では取り付けない

壁スイッチや天井直付けの照明器具を交換・増設したい場合は、必ず電気工事士に依頼しましょう。


資格なしでもできる作業のまとめ

ここまでの内容をまとめると、一般家庭で資格なしでもできる作業の一例は次のようになります。

  • 床や壁の見える場所で、コード・ケーブルを両面テープなどで軽く仮固定する
  • 樹脂製の配線モールにコードやケーブルを通して配線する
  • テーブルタップを机の脚などに両面テープやマグネットで仮固定して使う
  • コンセントにプラグを差して使える照明器具を取り付ける

逆に、

  • 天井裏・壁の中など見えない場所への配線
  • 壁コンセントやスイッチの交換・増設
  • 電線管・金属モールの工事

といった工事は、電気工事士の資格が必要と考えておくと安全です。


机まわりにコンセントと照明をつける実例

ここからは、記事中の「机の近くにコンセント&照明を用意した実例」を簡単に紹介します。

やりたいこと

  • 机のそばにコンセントがない
  • 離れたコンセントからテーブルタップを天井づたいに配線し、机のそばにコンセントと照明を持ってくる
  • 足元にコードが散らばらないようにスッキリさせたい


主な材料

  • 3口テーブルタップ(長めのもの)
  • 100V用プラグ(付け替え用)
  • 樹脂製の配線モールとコーナーカバー
  • デスク用照明器具(コンセントに差すタイプ)
  • R型圧着端子
  • 絶縁ビニールテープ
  • マスキングテープ、両面テープ など

必要な道具類

  • プラスドライバー(必須)
  • メジャー(できれば) ※モールや配線の長さを測るのに使用します
  • 作業用手袋(できれば) ※配線を剥く際に安全のため着用した方がいいです
  • メガテスター(できれば) ※作業終了後に念のため絶縁を測定します
  • 検電器(できれば) ※極性の確認に必要です
  • ケーブルストリッパー(できれば) ※配線を剥くのに便利です
  • 圧着ペンチ(必須) ※R端子の圧着に使用します。写真の圧着ペンチはリングスリーブ用ですので、正しくは裸圧着端子用を使用する必要がありますのでご注意ください。ちなみにですが、裸圧着端子用の圧着ペンチは握る部分が赤色です。
  • ペンチ(できれば) ※配線を切断したりする際に使用します
  • テスター(できれば) ※電圧の確認に必要です
  • 電工ナイフ(必須) ※配線の被覆を剥くのに使用します。カッターナイフでも可
  • 万能はさみ(必須) ※モールの切断等に使用します

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手順の流れ

① モールで配線ルートを作る

  • 壁紙を傷めないように、まずマスキングテープを壁に貼る
  • その上から両面テープで、樹脂モールの土台を貼り付ける
  • モールの中にテーブルタップのコードを通し、カバーをはめる
  • 角の部分は専用のコーナーカバーを使うと見た目がきれい

※数年後にマスキングテープがはがれてモールが落ちてしまいました。

  • 壁紙が多少傷むリスクはあるが、直接両面テープでモールを貼った方がよかったかも
  • いっそケーブルだけを両面テープで固定する方法もある

などの反省点があります。





② 机側のテーブルタップを仮固定

  • テーブルタップの裏に両面テープを貼る
  • 机の脚などに貼り付けて仮固定する

ビスでガッチリ固定してしまうと、「固定工事」とみなされる可能性もあるため、あくまで仮固定にとどめるのがポイントです。


③ 余ったコードの処理とプラグの付け替え

  • テーブルタップが長すぎる場合は、余ったコードをカットする
  • 外皮をむいて導体を露出させる
  • R端子を圧着ペンチでカシメる
  • 露出部分をビニールテープでしっかり保護する
  • 新しいプラグを開け、R端子を取り付けてフタを閉める
  • 根元部分にもビニールテープを巻いて補強する

市販のプラグの付け替え程度なら、一般の人でも作業できる範囲と考えますが、作業に不安がある場合は無理をせずプロに依頼してください。






※注意:圧着ペンチの種類が違います。正しくは裸圧着端子用の圧着ペンチを使用してください。






④ コンセントの極性・電圧を確認

  • コンセントの左右の穴のうち、短い方が電圧側
  • 検電器でどちらに電圧が来ているかを確認する
  • テスターで100Vが正しく出ているかを確認する

この確認作業を行うことで、極性の間違いによるトラブルを防げます。



⑤ 照明の取り付け

  • 机にデスクライトなどの照明器具を設置する
  • 机の脚に仮固定してあるテーブルタップに、照明のプラグを差し込む

これで机の近くにコンセントと照明がそろった状態になります。


⑥ 完成イメージ

  • テーブルタップを天井づたいに配線することで、足元のコードがなくなりスッキリ
  • 机まわりに使いやすいコンセントと照明ができる



7. 安全のための注意点

  • 法律の解釈にはグレーゾーンもあり、人によって意見が異なる場合があります。
  • 少しでも不安がある作業や、家の固定配線(壁の中・天井裏)に関わる工事は必ず電気工事士に依頼しましょう。
  • 感電や火災は命や財産に関わる大きなリスクです。「無理に自分でやらない」という判断も大切です。

「どこまで自分でやっていいのか?」を知っておくと、安全に、かつちょっとしたDIYを楽しむことができます。迷ったときは、プロに相談するようにしましょう。