誘導電動機と同期電動機はどちらも「交流で回る」代表的なモータですが、回り方のルールが違います。このページでは違い(結論)→用語→仕組み→比較→使い分けの順で、最短ルートで理解できるように整理します。

まず結論:違いは「回転子が磁界をどう作るか」

  • 誘導電動機:回転子(ロータ)の電流が「誘導」で生まれる → 同期速度より少し遅れて回る(スリップあり)
  • 同期電動機:回転子が磁石/励磁で磁界を持つ → 同期速度と同じ速さで回る(スリップなし)
迷ったら「誘導=遅れるのが仕様/同期=同じ速さが仕様」と覚えると整理が速いです。
電動機(モータ)のイメージ図

最低限の用語:回転磁界/同期速度/スリップ

回転磁界

固定子(ステータ)の巻線に交流を流すと、内部に回転する磁界(回転磁界)ができます。モータは、この回転磁界に回転子(ロータ)が引っ張られて回転します。

同期速度

回転磁界が回る速さを同期速度と呼びます。周波数と極数で決まり、電源周波数が一定なら基本は一定です。

スリップ(誘導電動機だけ)

スリップ=「回転磁界の速さ」と「回転子の速さ」の差です。誘導電動機は、この差がないと回転子に電流が誘導されにくくなるため、原理上スリップが必要になります。

誘導電動機:なぜ回る?なぜ遅れる?

誘導電動機は、構造が比較的シンプルで丈夫なため広く使われます。ポイントは、ロータに電源を直接つながず、誘導で電流が生まれることです。

回転の原理(要点)

  • ステータが回転磁界を作る
  • 回転磁界がロータ導体を横切る
  • ロータに電流が誘導される
  • 誘導電流と磁界の作用でトルクが生まれて回転する

なぜ同期速度より遅れる?(スリップが必要な理由)

もしロータが回転磁界と同じ速さで回ると、磁界がロータを横切らなくなり、誘導電流が弱まってトルクが落ちます。だから誘導電動機は「少し遅れる → 誘導が起きる → トルクが出る」という“遅れ前提”で成り立ちます(=スリップ)。

補助動画(任意):誘導のイメージを固める

ここまでの文章が理解できたら、補助として動画で動きを確認すると定着が速いです。 誘導電動機の仕組みとは? – YouTube

同期電動機:なぜ同じ速さで回る?

同期電動機は、回転子が磁石(永久磁石)励磁(外部電源)によって磁界(磁極)を持つことが核です。ステータの回転磁界とロータの磁界が噛み合う(ロックする)ように回転するため、回転数は同期速度と一致します(スリップなし)。

補助動画(任意):同期のイメージを補強する

発電機(オルタネータ)の説明でも、「回転子が磁界を持ち、回転磁界と同期する」という根っこの理解に役立ちます。 オルタネータの仕組みとは? – YouTube

まとめて比較:一目で言えるようにする

観点 誘導電動機 同期電動機
ロータの磁界 誘導電流で生まれる 磁石 or 励磁で持つ
回転数 同期速度より少し遅い 同期速度と一致
スリップ あり(必要) なし
強み 汎用・頑丈・扱いやすい 速度一定・高効率・(条件次第で)力率改善

使い分け(最短の判断軸)

  1. 速度を絶対一定にしたい → 同期が有利
  2. コスト・汎用性・頑丈さ優先 → 誘導が第一候補
  3. 効率や力率など設備全体で効かせたい → 同期(方式・条件を確認)

つまずきポイント(ここだけ再確認)

  • 同期速度=回転磁界の速さ
  • 誘導電動機は原理上、同期速度より少し遅れる(スリップが必要)
  • 同期電動機は回転子が磁界を持つので同期速度に一致する

理解チェック(2問)

  • 誘導電動機でスリップが必要な理由を一言で言うと? →回転磁界と回転子に差(相対速度)がないと誘導電流が生まれず、トルクが出ないから。
  • 同期電動機が同期速度で回る理由を一言で言うと? →回転子が磁界(磁極)を持ち、固定子の回転磁界に同期してロックするから。