電気の資格

電験三種(電気主任技術者)を取得しよう!令和4年度日程・将来性・合格率

電験三種(電気主任技術者)の令和4年度の日程について

電験三種(第三種電気主任技術者試験)は以下のサイトから試験の申し込みをすることができます。受験資格はありませんので、どなたでも受験することが可能です。

試験は令和4年度から年2回となりました。また、5肢択一のマークシート式の試験です。

一般財団法人 電気技術者試験センター

”理論”、”電力”、”機械”、”法規”の4科目があり、その4科目全ての科目で科目合格すると、晴れて電験三種の合格となります。

また、電験三種には科目合格制度があります。4科目のうちの、1つ~3つの科目を合格した場合、合格した科目は翌年度と翌々年度の試験において合格扱いになります合格までの具体例は以下のようになります。

  • 1年目に理論を科目合格
  • 2年目に電力及び機械を科目合格
  • 3年目に法規を科目合格
    ※ただし、1年目に合格していた理論は科目合格扱いから外れる
  • 4年目に法規と理論を科目合格し、晴れて電験三種試験に合格

試験問題と解答はこちらの公式ホームページに載っていますので、参考にしてみてください

電験三種ってどんな資格なの?

電験三種とは通称のことで、正確には「第三種電気主任技術者」といいます。電験は一種から三種までありますが、第三種電気主任技術者の職務は電圧50,000ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000KW以上の発電所を除く)の工事、維持及び運用に関する保安の監督になります

※業用電気工作物とは、一般用電気工作物(電力会社から600V以下の電圧で受電する電気工作物)以外の電気工作物のことをいいます。第二種は電圧170,000V未満の電気工作物の工事、維持および運用ができます。第一種は全ての電気工作物の工事、維持及び運用が可能です。

ちなみに事業用電気工作物を設置する者は電気主任技術者の面状を保有するものを選任しなければなりません

※正確にいうと、出力500KW未満の発電所や電圧10,000V未満の変電所・送配電線路、最大電力500KW未満の需要設備等、比較的小規模な設備は第一種電気工事士等の資格で許可主任技術者になれる特例があります。7,000V以下の電圧で受電する需要設備、出力1,000KW未満の発電所等は選任の免除が認められていたりします。

また、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければなりません

ショッピングモールや病院・大学・大型ビル等々…、事業用電気工作物は至る所にあります。その全てに電気主任技術者を選任(特例はありますが)しなければならないと電気事業法で定められています。つまり、電気主任技術者はかなり需要のある資格になります。

電験三種の資格があればDIYでコンセントを取り替えてもいい?

ちょっとわき道にそれますが、家庭のコンセントは100Vなので電験三種の資格を持っていれば交換してもいいのでしょうか?答えは、ダメなんです。

この場合は電気工事士が必要です。電気工事士についてはこちらで紹介していますのでご覧ください。家庭の電気は電力会社の監督下にありますので、電気工事士法に基づき、電気工事士の資格がないと工事ができません。

電験三種の資格では電気工事できないの?と思われるかもしれませんが、工事ができる場合もあります。事業用電気工作物の設置者は電気主任技術者の選任の他に、保安規定を作成する必要があります。

これは同工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために定められた規定です。

つまり、とある事業所において、その事業用電気工作物の電気主任技術者が電気工事の監督をしており、さらに保安規定に則っているのであれば、電験三種の資格があれば電気工事が可能です。

(というより、この場合であれば電験三種の資格がなくても素人でも電気工事ができると思います。電気主任技術者が認めればの話ですが…。)

ちょっと話がややこしくなってしまいましたが、電験三種(第三種電気主任技術者)をまとめると以下のようになります。

  • 三種電気主任技術者は電圧50,000ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000KW以上の発電所を除く)の工事、維持及び運用に関する保安の監督ができる
  • 事業用電気工作物を設置する者は電気主任技術者の面状を保有するものを選任しなければならない(例外はあります)
  • 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない

電験三種を取得するメリットは?将来性は?

電験三種は大変おすすめな資格です。その理由を以下にまとめてみました。

①就職や転職に有利

事業用電気工作物を設置する者は電気主任技術者の面状を保有するものを選任しなければならない(例外はありますが)と法律で決まっています。需要が多いため、求人も多いです

最近ではメガソーラーの太陽光発電が増えてきたこともあり、ますます需要が高まってきています。また、私自身電気関係の仕事をしているのですが、この資格を保有している人はとても少ないと感じます。

この資格があれば(さらに経験まである場合はなおさら)、職に困ることはありません

電験を取得すると、一例ですが以下のような仕事に就くことができます。

ビルメン

ビルメンとは、ショッピングモールなどの商業施設やオフィスビルなどのあらゆる設備を保全・保守・メンテナンスします。

つまり、その名のとおりビルをメンテナンスする仕事です。電気主任技術者として選任され、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をおこないます。

この資格を持っていれば未経験の場合でも、大手ビルメン企業は厳しいかもしれませんが、採用される確率は高いと思われます。

電力会社・保安協会・電気管理会社

発電所の保守・管理や、高圧機器等の事業用電気工作物の点検等が主な業務です。

資格だけ持っていて未経験の場合でも、(人気の企業は難しいかもしれませんが)採用される確率は高いと思われます。経験があれば、採用される確率はさらに高まります。

②会社で自慢できる

電気関係の仕事をしており電験三種の資格を保有していれば、同僚や上司から一目置かれます。それほど合格率が低く難易度の高い資格になります。

電験三種は需要が高く、大変おすすめの資格なのですが、一つ問題点があります。それは試験が難しいことです。半端な気持ちでは合格できません。私自身も合格するのに3年掛かってしまいました。

しかしながら、電験二種や電験一種のような絶望的な難易度では無いので、勉強さえコツコツ真面目にすれば、合格できる試験であると言えます。

こちらの記事で選択肢を選ぶコツについて紹介していますので、勉強の息抜きに見てもらえると嬉しいです

電験三種の合格率は?取得にどのくらい費用が掛かる?

合格率はどのくらい?

各科目の合格率は10~20%程であり、最近では全体の合格率は10%程度です。非常に合格率が低く、真剣に勉強しないと合格は難しいでしょう。

私の場合ですが、軽い気持ちで1年目になんとなく電験三種を受験して、「電力」を運よく科目合格しました。2年目はそこそこ勉強しましたが、「理論」科目のみ合格でした。

後のない3年目は真剣に勉強し、残りの「機械」と「法規」の科目を取得しました。もし、3年目に合格できなかった場合は、1年目に取得した「電力」の科目が復活し、再度科目合格する必要があります。

これが電験で有名なスパイラル(なかなか合格できない状態)といいます。

取得費用はどのくらい?

電験三種取得に掛かる費用をまとめると以下のようになります。

  • 受験申込手数料 … 4,850円(インターネット申し込みの場合)
  • 合格時申請手数料 … 約2,750円(書類郵送費用込)
  • 参考書 … 約15,000円(4科目の参考書及び過去問)

電験三種の免状を受け取るまでの費用は合計19,600円程です。どうしても参考書の費用がかさんでしまいます

おすすめの参考書は?


私が使っていた参考書は完全マスターシリーズです。なんといっても説明がめっちゃ詳しいです。電験三種の参考書の中で一番詳しいと言っても過言ではありません。

最近の参考書でおすすめなのは、断トツでTAC出版開発グループの参考書です。おすすめのポイントは、解説がとても分かりやすいことです。

なおかつ、重要な点のみを説明してくれています。さらに嬉しいことに、漢字や記号にフリガナを振ってくれています。ああ、この記号ってこうやって読むんだ(例えばこの記号→” ζ ”(ツェータ))みたいなことが分かります。

人によっては「説明事項や解説が足りないんじゃない?」という人もいるかもしれませんが、個人的には十分かなと思います。

逆に多すぎると、どこを勉強すればよいのか分からなくなると思いますので、このくらいのボリュームが丁度よいのではないかと思います。

万全を期すならば、基礎学習用にTACシリーズの参考書を、分からないことを調べるように完全マスターの参考書があると完璧だと思います。ちなみに私はどちらのシリーズも持っています。

おすすめの勉強法について

まずはTACシリーズの参考書をサラサラと読んで、基礎力を付けるのが良いと思います。数学が苦手な方はこちらの参考書(みんなが欲しかった! 電験三種 合格へのはじめの一歩)からスタートするといいと思います。

また、いきなり最初の1年で全科目合格を目指して、各科目を満遍なく勉強するのがおすすめです。こうすることにより、電気の知識の基礎力を底上げすることができます。

私の勉強法ですが、参考書の特に重要だなと思うところには小さな付箋を貼っておき、繰り返し学習することにより、忘れないように工夫していました。

ただし、あくまで参考書はサラサラと読むだけにして、時間を掛けすぎないようにしましょう。よく分からないところは流し読みでもいいと思います。忘れないためにも、とにかく繰り返し何度も参考書をサラサラと読み返すことが重要だと考えます。

(※少し前までは、電験三種の学習は過去問をひたすら解くだけでよく、参考書は分からないときに見るだけでよい、というように考えていました。

しかし、最近の過去問を見ると、参考書に載っているような基礎的なことが試験に出題される傾向があるように感じており、過去問の学習だけでは不十分なのではと考えています)

次に、過去問を解きましょう。”過去問を制する者は電験を制す”といっても過言ではないぐらい、過去問の学習は重要です。

電験三種は過去問の類似問題がよく出題されます。分からなくてもとりあえず答えを見ながら解いてみましょう。答えの導き方が良く分からないときは、参考書を見て解き方を学びましょう。

これは個人的な学習法なので向き不向きがあると思いますが、私は問題を手を動かして解くのではなく、頭の中で解くようにしていました。

こうすることにより、1問に掛けることができる時間が短くなり、多くの問題を繰り返し勉強することができます。

人間は時間が経つと勉強したところをどうしても忘れてしまいますので、繰り返し学習することにより、忘却を防ぐ必要があります。

この学習法のデメリットですが、解法を閃く能力は付くのですが、計算力は付かないため、実際の試験では計算に時間が掛かってしまいます。

そのため、時々は実際に手を動かして問題を解き、計算力をつける必要があると思います。

いかがでしたでしょうか。電験三種の資格は大変おすすめです。取得にはかなり苦労すると思いますが、その価値がある資格だと思います。

資格のことから身近なことまで、電気に関する質問を募集していますので、何かありましたらコメントまでよろしくお願いします。面白い質問があれば記事にしたいと思います。

ABOUT ME
sumato
電気関係の仕事をしています。設計・積算・現場管理など。資格マニアです。 【取得済】 電験二種・電験三種・エネルギー管理士・1級電気工事施工管理技士・第一種電気工事士(認定)・第二種電気工事士・消防設備士甲4・乙6