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私の電験三種合格記について(実体験)
電験三種については「電験三種(電気主任技術者)を取得しよう!令和4年度日程・将来性・合格率」の記事にありますので、参考にしていただけると幸いです。
「初受験者が電験三種に合格するための勉強法と計画について」述べさせていただく前に、私の電験三種合格にまつわる実体験についてお話ししたいと思います。そのため、このセクションは飛ばしていただいても構いません。
平成23年のことです。参考書をパラパラと読むだけで、あまり勉強もせず、無謀にも電験三種に挑戦したところ、運よく「電力」科目に合格することができました。
電験三種は5択問題なので、実力が無くとも運が良ければ、このように科目合格することが可能です。思い返せば、これが恐怖の電験地獄(?)の始まりでした…。
翌年の平成24年、残った3科目に合格するべく、過去問を中心に勉強を進めました。その結果、「理論」科目に合格することができましたが、「機械」と「法規」科目を落としてしまいました。
この年の「機械」科目の合格率は10%(科目合格率7.2%)、「法規」科目の合格率は9.8%(科目合格率5.9%)と、平成15年~令和3年の期間中で、最低の合格率でした。
「機械」と「法規」科目については、もちろん合格するために一生懸命勉強しましたが、合格基準点に5~10点足りませんでした。
こんな難しい年の試験に当たるなんてツイてないわ~、とその当時思っていましたが、電験二種に合格した今から考えると、完全に実力が足りていなかったと思います。
さらに翌年の平成25年、しっかり過去問を中心に勉強した結果、「機械」と「法規」科目に合格し、晴れて電験三種合格となりました。
電験三種初受験者は何から取り組めばよいか
「初めて電験を受験しますが、何から取り組めばよいですか?」という問いに対し、以下のように取り組むのが良いと考えます。
最短で半年での資格取得を目指し、叶わなければ1年半での合格を目指します。ちなみにですが、電験三種には科目合格制度があります。
4科目のうちの、1つ~3つの科目を合格した場合、合格した科目は翌年度と翌々年度の試験において合格扱いとなります。
【電験三種合格のための勉強計画について】
- 4科目の参考書を購入する
- 4科目の参考書をパラパラと眺める(各科目1週間×4科目=1カ月程度)
- 過去問を解く(5カ月程度)
- 4科目合格を目指し、1回目の試験を受験する
- 1回目の受験で落とした科目を勉強し、翌年受験する(12カ月)
上記の①~⑤について、順番に解説していきます。
①4科目の参考書を購入する
電験三種の全体の出題範囲を知るために、参考書の購入は必要だと考えます。また、過去問を解いていて、分からないところが出てきた場合にも、参考書を使用して確認します。おすすめの参考書は以下になります。
電験三種の全体のボリュームが分かるため、電験初心者にはおすすめの一冊です。電験三種受験に必要な数学についても載っていますので、数学に自信の無い方も購入をおすすめします。(数学がある程度分かる方は、この参考書は不要かもしれません)
みんなが欲しかった! 電験三種 理論の教科書&問題集 第2版 (みんなが欲しかった! シリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2020/10/10
みんなが欲しかった! 電験三種 電力の教科書&問題集 第2版 (みんなが欲しかった! シリーズ) 単行本(ソフトカバー) –
みんなが欲しかった! 電験三種 機械の教科書&問題集 第2版 (みんなが欲しかった! シリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2020/11/14
みんなが欲しかった! 電験三種 法規の教科書&問題集 第2版 (みんなが欲しかった! シリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2020/12/4
みんなが欲しかった!シリーズは特におすすめです。ちなみにですが、私が電験三種の勉強をしていた頃は、この参考書は販売されていませんでした。
おすすめのポイントは、解説がとても分かりやすいことです。なおかつ、重要な点のみを説明してくれています。さらに嬉しいことに、漢字や記号にフリガナを振ってくれています。ああ、この記号ってこうやって読むんだ(例えばこの記号→” ζ ”(ツェータ))みたいなことが分かります。
説明事項が他の参考書と比較して不足していると思われるかもしれませんが、これは出題頻度の低い余分なところを削ぎ落しているためだと思います。重点を絞って学習できるところもこの参考書のおすすめのポイントです。
この参考書は重要な公式をコンパクトにまとめてあります。私の場合は解説の足りていないところを手書きで追加する等して、「公式のまとめノート」のような形で使用していました。コンパクトなサイズなので持ち運びに便利であり、隙間時間にはこの参考書をパラパラと眺めて学習し、試験直前にもこの参考書を眺めていました。(私の場合、後半の用語集はあまり活用しませんでした)
②4科目の参考書をパラパラと眺める(各科目1週間×4科目=1カ月程度)
勉強計画の最初の1カ月は「参考書をパラパラと眺める」ことをおすすめします。この目的は、「参考書にはどんなことが書いてあるか」、「試験の出題範囲はどのくらいか」を知るためです。
参考書を見る順番は、「理論」⇒「機械」⇒「電力」⇒「法規」がおすすめです。この順番であれば、躓くことなく読み進めていくことが可能です。
このときに、参考書に書いてあることが難しくて分からなければ、潔く飛ばしてもらって構いません。なぜなら、参考書の中身を1回読んだだけで理解するのは不可能だからです。
完璧主義者の方には、中身が理解できないまま参考書を読み進めるのはツライと思いますが、試験合格において「完璧主義」は良くありません。
電験三種は100点中60点取れば合格の試験です。つまり、参考書の中身を完全に理解できていなくても合格することが可能です。当然、私自身も参考書の中身を完全に理解できてはいません(キッパリ)。
試験合格を目的とする上で一番良くないのは、分からない問題を解決するために、時間を大量に浪費してしまうことです。そのため、分からないところは飛ばし、スピード重視で参考書をパラパラと学習しましょう。
繰り返しになりますが、「参考書にはどんなことが書いてあるか」、「試験の出題範囲はどのくらいか」が分かれば良いので、参考書の中身は理解できていなくても問題ありません。
あまりお金をかけたくない場合はWEBサイトの活用がおすすめ
電験三種を無課金で攻略したい場合は、WEBサイトの活用がおすすめです。以下のサイトは特におすすめです。
【電気の資格とお勉強】※リンクフリーかどうか確認できなかったため、リンクは貼っていません。
参考書の代わりとなるサイトです。公式等が分かりやすくまとめてあります。
【電験王3】※リンクフリーかどうか確認できなかったため、リンクは貼っていません。
私も電験二種受験の際に【電験王2】を活用させていただきました。市販の問題集よりも解説が丁寧で分かりやすいと言っても過言ではないと思います。
その他に、「youtube」を活用して勉強するのもよいかもしれません。電験三種で検索するといろいろな動画がヒットします。
③過去問を解く(5カ月程度)
電験三種合格のために最も重要なのは「過去問を解く」ことです。過去問を制する者が電験を制すると言っても過言ではありません。おすすめの参考書は以下のものです。
過去問は10年分以上のものがおすすめです。書店で各過去問集を手に取って眺めてみて、一番分かりやすそうなものを買うのが良いです。私のおすすめは「みんなが欲しかった!」シリーズの過去問集です。
電験三種に合格するためには、少なくとも過去10年分(10回分)の過去問の学習が必要だと思います。余裕のある方は12年分(12回分)の勉強がおすすめです。
1年前と2年前の過去問は出題される可能性が低いため、傾向を掴むためにサラッと勉強するだけで良いと思います。3年以上前の過去問からはしっかり勉強するようにすると良いと思います。
過去問を解いていて、分からないところがあれば参考書を見て確認するようにしましょう。そのときに、小さな付箋を参考書に付けておくと効果的です。
こうすることで、自分が躓いた個所の確認や、出題頻度等の試験の傾向が見えてくるはずです。
また、過去問の解法の解説を読んでも意味が分からない問題は、潔く飛ばしてしまいましょう。電験三種は100点中60点取れば合格の試験です。解けない問題があっても構いません。
分からない問題にこだわるよりも、確実に解ける問題を増やす方が効果的です。それに、現時点では理解できなくても、過去問の周回を重ねていくうちに、分からなかった問題が急に理解できたりすることもあります。
電験を受験する上で、完璧主義はあまり良くないと思います。分からない問題の深みにハマると、いたずらに時間だけが経過し、勉強のモチベーションが低下してしまいます。(これは実体験の話です)
④4科目合格を目指し、1回目の試験を受験する
とりあえず4科目を満遍なく勉強し、まず試験を受けてみましょう。試験の難易度は毎年変わりますので、運が良ければその年の簡単な科目に合格することができます。
個人的には、科目を絞って受験する(例えば「理論」と「電力」のみ受験する等)ことはおすすめできません。
その理由ですが、電験三種は各科目ごとに、相互に繋がりがあります。各科目を満遍なく勉強することで、この相互の繋がりを理解することができ、ひいては各科目の深い理解にも繋がります。
加えて、科目を絞って受験した場合、その年の難易度が高かった場合には、科目不合格となってしまいます。
4科目勉強すると、その年の難易度が低い科目に合格できる可能性があります。難易度の低い「ラッキー年」に当たった場合は、確実にその科目を合格しておきたいところです。
⑤1回目の受験で落とした科目を勉強し、翌年受験する(12カ月)
1回目の受験で落とした科目について、過去問の周回を中心に、しっかり勉強しましょう。
時間が経つと、人間は勉強したことを忘れます。忘れるということは仕方がないことなので、忘れてしまっても「人間は忘れる生き物だから仕方ないや」ぐらいに考えてしまえば良く、自分を責めてはいけません。モチベーションの低下に繋がります。
なるべく忘れないようにするためには「繰り返し勉強する」しか方法はありません。この過去問の周回速度はなるべく早い方が望ましいと思います。
また、アウトプットを意識した勉強も重要です。計算問題であれば、分からない問題は答えを見ながら勉強するのではなく、一度答えを暗記した後に、答えを見ずに回答すると効果的です。
答えを見て正解を確認するだけでなく、実際に回答できるか、アウトプットができるかを確認する必要があります。
論説問題(知識を問う問題)の場合は、暗記カード(例えば表面に問題、裏面に答えを書いたもの)を作成する等して、クイズ形式での勉強が効果的です。
参考書を見ただけでは、覚えた気になっているだけとなる可能性が高く、暗記カードのようにアウトプットを確認する必要があります。
勉強法についてはこちらの記事にも記述していますので、ご参照ください。
いかがでしたでしょうか。これから電験三種を受験しようと思っている方は、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。